CJICレポート7:RSSとブログで実現するリアルタイムな情報収集

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 ブログの隆盛やRSSフィード、RSSリーダーの普及により、ユーザーのインターネット体験や企業のマーケティングはどう変化していくのか。6月20日に行われたCNET Japan Innovation Conference 2005 Summer(CJIC)のパネルディスカッションBでは、「RSSとブログが創る新たなビジネスの可能性」と題して積極的な議論が交わされた。モデレーターはCNET Japan Blog「情報化社会の航海図」でおなじみの渡辺聡氏が務めた。

RSSの普及がもたらしたユーザー体験の変化

モデレーターの渡辺聡氏

 パネリストとして参加したのは、日本初のRSS広告配信事業を行うRSS広告社の代表取締役 兼 ネットエイジグループ執行役員の田中弦氏、ドリコムの代表取締役 内藤裕紀氏、はてなの取締役最高技術責任者 伊藤直也氏、Bloglinesの創始者で現在Ask Jeevesのバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーを務めるマーク・フレッチャー氏の4名だ。

 各社のサービス概要を紹介する中で、RSS広告社の田中氏は、CJICが行われた当日にサイバーコミュニケーションズとリクルートから出資を受け、業務提携を交わしたこと、また同日よりRSS広告を開始した旨を発表した(関連記事) 。また、ブログラインズのフレッチャー氏は、米国のブログやRSS事情について「米国人はRSSを大いに支持しており、携帯電話やポッドキャスティング、ビデオブログの領域にまで進出している」と語った。

 モデレーターの渡辺氏が最初に提示したディスカッションのテーマは、「RSSによりユーザー体験はどう変わっていくか」だ。ブログやRSSフィードサービスを行う各社に、ユーザーのサービス利用状況を聞いた。

 これに対しはてなの伊藤氏は、「RSSフィードは、インターネットリテラシーの高い人が、情報発信と情報収集という両方の目的で利用している」と述べた。RSSフィードを受け取ったユーザーは、さらに情報を広める傾向にある。これにより、能動的にサイトに訪問して情報を入手しなくてはならなかった従来のウェブサイトのあり方に比べ、情報の流出スピードが飛躍的に高まったという。

 同氏はまた、「はてなブックマーク」とRSSフィードの共用について「情報流通量が増えたことに対し、自分にとって必要な情報と、皆が興味を持っている情報の2つを見落とさないようにすることが重要だ。はてなユーザーがブックマークを付けたものをランキング表示する“ソーシャルブックマーク”を利用することで、情報の見落としが防げる」としている。

 Ask Jeevesのフレッチャー氏は伊藤氏の発言に同意し、「Bloglinesは、新しい言葉を検索した場合でも、すぐに検索結果として表示される可能性が高い」としている。ここが通常の検索と大きく異なる点で、「過去に入力された事柄だけでなく、数分前に誰かがブログに書き込んだ内容がすぐに検索できるのだ」と、Bloglinesでリアルタイム検索が実現するとアピールした。

 さらに伊藤氏は、「ウェブブラウザで1000個のサイトを巡回すると、それだけで1日を費やすが、RSSフィードはその時間を大幅に短縮できる」と述べた。またフレッチャー氏も「RSSを利用すれば、新しく更新された情報が自分の元へやってくる。これはインターネットが今後大きな成長を遂げるための重要な技術であり、ユーザーには必須のものとなるだろう」とした。

RSS技術のビジネス利用

 モデレーターの渡辺氏は次に、RSSがもたらすビジネスサイドの変化について触れた。法人やメディアなど、マーケティングサイドはどう変わっていくのだろうか。

 「検索エンジンとRSSの使い分け、またこの2つの技術の統合はどうあるべきなのか。さらに、RSSでどのようなビジネスモデルが考えられるのか」という質問に対し、フレッチャー氏は「決め打ちのビジネスモデルはない」と答えた。RSSでコンテンツのサマリーのみを提供してウェブサイトへと誘導し、ページビューを向上させるというモデルもあれば、コンテンツをフルテキストで配信し、その中に広告を入れるというモデルも考えられるという。

 伊藤氏は、「ウェブ全体から幅広く情報を手に入れたい場合は、従来の検索エンジンで今後も事足りるだろう」としているが、その一方で「RSSフィードでは、新鮮な情報が入手できるほか、特定のセグメントから選び抜かれた情報が配信される」と述べ、情報過多になりがちな現状のインターネットにおける絞り込み検索の意義を説いた。また、海外ではRSSフィードそのものの是非が問われるケースもあったことに触れ、「メディアはフィードをどう扱っていくか、対応を強いられるのでは」と予測した。

 検索エンジンとブログの両方を提供するドリコムの内藤氏は、2つの接点として「検索エンジンは情報を集めることと、探しやすくすることの2つの側面がある」と述べた上で、「RSS技術は情報収集と検索を簡単にした。GoogleやYahoo!のような大規模検索エンジンを持たない企業でも、RSSで検索サービスが簡単に作れるようになる」とした。また、「RSSで公開されているブログから口コミ情報を集め、特定のジャンルに絞った検索サービスを生み出す土台として利用されていくのではないか」と、RSS技術を使った検索サービスの可能性について述べた。

 さらに内藤氏は、「RSSは自動的に配信される簡素なメールマガジンに近い」とし、RSSを利用するユーザーの中には、メールマガジンよりもRSS経由でウェブサイトに訪れた読者が増えたとの声があることも明かした。

 モデレーターの渡辺氏はさらに、バナーや検索広告とRSS広告の違いについて、RSS広告社の田中氏へ質問した。田中氏は、「RSSはコンテンツの補完ができる上、いま話題になっているものをリアルタイムに捉えられる。ブログを読んだユーザーの興味が喚起された瞬間に広告を提示できるのがRSS広告の強みだ」と述べた。

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