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AMD、米国でもインテルを独禁法違反で提訴--“犠牲者”38社を挙げて説明

別井貴志(編集部)2005年06月28日 19時33分
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 米AMDは米国時間6月28日、デラウェア州米連邦地方裁判所に米Intelに対する米国独占禁止法(シャーマン法及びクレイトン法)違反による損害賠償請求訴訟を6月27日に提起したと発表した。

 この訴訟は、日本の公正取引委員会が2005年3月8日にインテルに対して行った排除勧告に続くものだ。この勧告は、インテルの行為を独占禁止法3条に違反する独占的地位の濫用による排除行為と認定し、インテルが違法な手段を使って日本のPCメーカの行動を制約したとしており、インテルはこの勧告の内容には同意しなかったものの4月1日に応諾している。

 今回の米国での訴訟について、AMDのヘクター・ルイズ会長兼CEOは「マイクロプロセッサ市場では世界のどの地域かを問わずに商品選択の自由と技術革新のメリットを享受する権利が奪われている。世界中の人々はインテルによる独占的地位の濫用への代償を払わされている」と訴訟に至った背景を語った。

 x86マイクロプロセッサは、WindowsやSolaris、LinuxなどのOSに対応し、Appleも2006年から使用する方針に転換している。こうした重要な市場において、全世界での販売個数の約80%、収益の約90%に上る現在のインテルの独占的なシェアは、違法行為によって成り立っており、そのためにPCの購入者は、高い価格を支払い、競争が少ないために技術革新も鈍化しているうえ、製品を選択する権利も奪われていると主張しているのだ。

 訴状は、AMDの顧問弁護士代表であるオメルベニー・アンド・マイヤーズ法律事務所のチャールズ P. ダイヤモンド氏が調査した内容が48ページに渡って記されている。その内容は、インテルが世界各地において、顧客にAMDとの取引制限を強いるという違法な手法を用いて、x86マイクロプロセッサ市場における独占的地位を維持してきたことを説明。また、訴状には7種に類別できるインテルの違法行為について、その犠牲になってきた38の企業が特定されている。その概要は以下のとおり。

  1. デル、ソニー、東芝、ゲートウェイ、日立などの主要顧客にインテルとの独占取引を強制し、その見返りに現金の提供や差別的価格の設定、またはAMDを排除することを条件としたマーケティング奨励金を支給した
  2. NEC、Acer、富士通などの主要顧客との間で、AMDからの購入を厳しく制限または完全に中止することを条件に、リベートや手当て、市場開拓資金(MDF:market development funds)を支給、部分的な独占契約を締結した
  3. AMDからまとまった量のプロセッサを購入する自由を顧客に与えないことを目的として、大量購入を通じてのみ保証される差別的かつ遡及効果のあるシステムを確立した
  4. 顧客に対して、特に法人向けデスクトップPCなどの戦略的市場分野でAMDプロセッサを搭載したコンピュータプラットフォームを投入することに関して、報復措置をほのめかした
  5. ベスト・バイやサーキットシティなどの主要な小売業者にノルマを課し、大量かつ独占的にインテル製品を搭載したコンピュータを取り揃えるよう求め、人為的に顧客の選択の自由を制限した
  6. PCメーカや技術パートナーに、AMD製品の発表や販促を拒否するよう強制した
  7. AMDを市場で不利な立場に追いやるため、業界技術標準や製品を強制することで、市場支配力を濫用した

 それぞれの内容には、具体的なインテルの違法行為の例が以下のように説明されている。

【OEMとの排他的または準排他的取引】

  • デルは、顧客がAMDのソリューションを求めていることを認めつつも、AMDのマイクロプロセッサを購入したことがない。業界で報じられているところによれば、インテルは金銭の提供ならびに差別的価格設定とサービスによって、デルに対する独占販売権を買い取ったという。デルの幹部は、もし1つでもAMD製品搭載品の発売を決定した場合、インテルの報復に備えて金銭を計上しなければならなくなることを認めている。
  • AMDは、1999年に米国を含めた全世界にPCを輸出している日本のOEMに対するインテルの販売に食い込み始めた。2002年にインテルはソニーや東芝、日立に全世界における独占販売権と引き換えに値引きまたは販促サポートの名目で数百万ドルを支払った。また、インテルは、NECと富士通にも両社のビジネスにおけるAMDのシェアを制限する等の目的のために数百万ドルを支払った。

 こうした訴状の全文(英語)や日本語の要約はサイトで公開されている。

 さらに、AMDでは欧州委員会の発表によれば、現在欧州委員会は日本の公正取引委員会と連携しながら、インテルの同様の行為に対して欧州独禁法違反の観点から調査を続けているとしている。

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