Cisco Systemsが、新たに立ち上げたビジネス部門の詳細を明らかにした。同社は、将来的に統合ソフトウェアプロバイダと競合していくための下地を整えつつある。
Ciscoは米国時間21日、ラスベガスで開催されているCisco Networkersユーザーカンファレンスで、Application-Oriented Networking(AON)部門の初めての製品について発表した。AON部門の始動は、Ciscoがインターネットルーティング事業だけでなく、メッセージングミドルウェアビジネスに参入する足がかりになるとして、広く期待を集めていた。
SAPやTibco Software、IBMなどのパートナー企業は、AON部門の製品と連携する製品を開発していくと述べている。
Ciscoでは、AON部門が同社のネットワーキングハードウェア製品ラインに精巧さや「インテリジェンス」をもたらし、収益の増大を助長すると考えている。またCiscoによれば、AON部門の製品は、送受信される情報を検査したり、設定済みのポリシーに基づいてメッセージをルーティングしたりすることで、「アプリケーションとの連携が可能(application-aware)」なネットワークを実現するという。
Ciscoはこうした製品を数年がかりで市場に投入していく意向で、手始めに、同社の「Catalyst 6500」スイッチに挿入可能なブレードとブランチオフィスルータを2005年後半までに順次リリースする。さらに、AONのスタンドアロンデバイスやSAPアプリケーションに接続するブランチオフィスルータも、2005年中の完成が予定されている。
アナリストらは、Ciscoのアプリケーションネットワーキング分野への進出は、テクノロジー業界の競争構造に生じた大きな変化を反映するものと分析している。
システム間のデータ転送に最適化されたアプライアンスを開発することで、Ciscoは企業ユーザーに、従来の統合ソフトウェアスイートに代わるハードウェアを提供しようとしている。同アプライアンスは高いパフォーマンスと安価な管理を実現するというのが、Ciscoの主張だ。
市場調査会社Gartnerでアナリストを務めるRoy Schulteは、「これが市場の潮流を変えるような斬新なアイデアであることには、疑念を差し挟む余地がない。Ciscoが2005年中に同分野で頭角を現すとは考えられないが、企業ユーザーは、統合戦略について検討するなら、このコンセプトを考慮に入れないわけにはいかない。それほどの大きな変化だ」と指摘している。
特に、XMLネットワーキングハードウェアに力を入れる統合ソフトウェアベンダーや新興企業は、AON製品と競合する自社のビジネス分野について検討を迫られるとSchulteは話す。また、その他のアナリストやIT業界の幹部らも、ネットワーキングハードウェア分野におけるCiscoの長年のライバル企業が、アプリケーションネットワーキング市場に参入してくるだろうと予測している。
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