SAPは、NetWeaverソフトウェアのパートナー網を大幅に拡大し、ビジネスアプリケーションの連係強化に向けて、業界の「最大手」数社と提携を結んだ。
SAPは米国時間18日、IBM、Microsoft、Intel、Cisco Systems、EMC、Computer Associates International(CA)、Macromedia、Mercury Interactive、Adobe Systems、Symantecなど、複数の企業が同社からソフトウェアライセンスを取得したことを明らかにした。これにより、SAP用に最適化された製品の開発が進むことになる。同社は、マサチューセッツ州ボストンで開催中のSapphireカンファレンスでこの提携を発表した。
新たにライセンスを受けた各社は、SAP製品の内部の仕組みが分かる技術仕様(設計図)を利用できるようになる。SAPでは、これらの設計図を「Enterprise Service Architecture (ESA)」と呼んでいる。
SAPはこのパートナープログラムにより、自社のビジネスアプリケーションをプラットフォームへと変化させ、サードパーティーのソフトウェアプロバイダーがこれを基盤にしてアドオンや特別にチューニングされた製品を開発できるようにする。
SAP取締役のShai Agassiによると、SAP専用製品の品揃え拡大は、売上やアップグレードの増加に役立つという。
「プラットフォームはインフラ企業のサポートを必要とし、目的達成のためのキラーアプリケーションを必要とする。XboxであろうとWindowsであろうと、この組み合わせが必要だ」(Agassi)
同氏によると、SAPはESAのライセンスを供与し、その一部を各社製品に組み込むため、各業界の「最大手」獲得に数カ月前から取り組んできたという。同社によると、パートナー各社はSAPのツールキットや「ランタイム」ソフトを利用したり、これを自社製品に組み込めるようになるという。
SAPは3年前から、ビジネスアプリケーションを動かす「NetWeaver」というインフラソフトの改良を進めてきた。
SAPがNetWeaverで目指しているのは、Webサービスと呼ばれる業界標準を使い、同社のアプリケーションを「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」というさらに柔軟な設計にすることだ。同社では、顧客によるSAPモジュールのアップグレードや、SAP以外のシステムとのデータ共有を一段と容易なものにしたいと考えている。
PeopleSoftを買収したライバルのOracleも、異なるアプリケーション製品ラインで共通のJava/Webサービスベースのソフトウェアを開発するため、「Project Fusion」という同様の構想を立ち上げている。
Agassiによると、SAPはNetWeaverを使うことでビジネスインテリジェンス用のソフトウェアを自社開発したという。これらのツールは、分析用にアプリケーションからトランザクション情報を取得するためのものだが、同社のエンジニアは、NetWeaverのモデリング機能を使うことで、特定の用途や業界向けにチューニングされた200種類の解析ツールを開発した。
また、Agassiによると、MacromediaのFlashプレゼンテーションフォーマットとの密接な統合により、ビジネスインテリジェンスツールも簡略化されるという。これらの分析プログラムは来年登場する。
先月には、SAPとMicrosoftが「Mendocino」というプロジェクトを共同で進め、SAPのシステムに保存された顧客販売データなどの情報をMicrosoft Officeの各アプリケーションから利用できるようにする、と発表していた。
Agassiによると、ネットワーク分野では、Ciscoが自社のルーターで、IPアドレスの他にネットワーク内を通過するアプリケーション情報も見られるようにするという。これにより、シスコのハードウェアではたとえばやり取りされるデータの内容に応じてトラフィックに優先順位を付けることが可能になる。
同氏は、このほかにも400〜500社の比較的規模の小さなソフトウェアベンダーが、SAPのアドオン製品開発プログラムに参加すると予想していると語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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