現在インターネットでは、大企業から非営利団体まで、あらゆる組織が大容量のビデオコンテンツを無償で配信したいと急に考え始めているようだ。
独立系の映画会社やホームビデオを撮影する主婦にとっては、この流れがビデオ配信の場を提供することになりそうだ。こうしたビデオ作品は、小型カメラや低価格のビデオ編集ソフトウェア、そしてより強力なコンピュータが続々と登場してきたことで、かつてないほど簡単に制作できるようになっている。
しかし、これらの作品に無償配信の場を提供する企業や団体は、はるかに大きな利益を生み出す可能性のあるもの--つまり、それほど遠くない未来のウェブをコントロールするチャンスを狙っている。彼らは、今日のネットにあふれるテキストや静止画のように、近い将来には動画コンテンツが広く普及すると考えている。
「草の根メディアの革命を一気に軌道に乗せるチャンスだと思う」というのは、OurmediaのCEO、J.D. Lasicaだ。先ごろサービスを開始した同サイトでは、無料のビデオホスティングを行っている。「いまはまだ、マルチメディアであふれるウェブへと向かい始めたばかりの段階だ。ウェブはブログやテキストのための場所にはならない。ビデオやポッドキャストを公開するための場となり、爆発的な拡大を始めた市民メディアの仲間入りを果たすことになる」(Lasica)
Ourmediaの究極の目標は、膨大な量のビデオを蓄積することではなく、膨大なマルチメディアライブラリやアーカイブを、インターネットのどこからでも利用できるようにするオープン標準を確立することだ。これが実現すれば、ソーシャルネットワーク、ブログ用ツール、ポータル、メディア共有サイトなど、さまざまなチャネルからビデオライブラリ/アーカイブにアクセスできることになる。
Ourmediaでは、Internet Archiveが提供するストレージスペースを利用している。同社は、コンピュータやソフトウェアベンダー各社によるマルチメディアの権力争いに対抗するため、非営利団体や同じ考えを持つ企業と協力してオープン標準を確立したい考えだ。
ハイテク業界での経験が豊富で、Macromedia Directorの開発にも当初参加していたMarc Canterは、「われわれはいずれ、MicrosoftやAppleと競合することになる」と述べている。同氏はOurmediaに対して、自分の懐から5万ドル近い運営資金を提供している。
Ourmediaのサイトには、2カ月前の開設から5000本を超えるビデオが集まっている。同グループの創設者らは、Google、RealNetworks、Open Media Networkと話し合いを進めているという。Open Media Networkは、元NetscapeのMike HomerとMarc Andreessenが設立した非営利のビデオ収集サイトで、メディア共有のためのプロトコルづくりを目指している。
一般のネットユーザーが制作したビデオを集めようとしているのは、OurmediaやOpen Media Networkだけではない。Googleはこの4月から、アーカイブするビデオ作品を受け付けている。またAOLは昨年「Member Movies」というサービスを開始し、短いビデオ作品を共有できるようにしている。
Yahooは、消費者が制作したコンテンツの収集/配信には興味がないとしているが、しかしその言葉とは裏腹に写真サイトの「Flickr」を買収した。さらに、新興企業のなかでは、Brightcoveがビデオ配信サイトの立ち上げ準備を進めている。
OurmediaのLasicaによると、同氏のグループとGoogleはともに、複数の企業や団体がフリーなビデオ市場に参入することを歓迎しているという。
「Googleはわれわれに、この種のサービスがたくさん立ち上がっており、数が多くなればなるほど好ましい状況になると述べていた。ある意味で、われわれは皆同じ理由からこの市場に参入したといえる。その理由とは、草の根メディアによる革命の実現に手を貸すことだ。私はGoogleが大好きだが、彼らがこのようなサービスを行っているのは、単にビジネスチャンスがあるからといいうだけでなく、インターネット全体がこの方向に向かうと考えているからだと思う」(Lasica)
なお、この件に関するGoogleのコメントは得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」