Apple Computerは米国時間6日、Macに搭載するプロセッサをIBMのPowerPCからIntelプロセッサに切り替える計画を発表したが、これに対し、ウォールストリートの金融関係者らはあまり熱のこもった反応を示しておらず、この変更を賞賛する意見と懸念する声の両方が上がっている。
Appleの計画に対する最大の理由として、証券アナリストらが挙げているのは、同社の顧客基盤の中核をなす忠実なMacユーザーのApple離れだ。これらのユーザーは、Appleに対してMacをWindows-Intelマシンと差別化することを期待しているが、チップが変更されればそれだけ差別化も難しくなる。また、Intelチップではプログラムの変更が必要になることから、Appleはソフトウェアの互換性に関する問題を抱えることにもなるかもしれない。
「Appleにとって、Intelチップへの移行はリスキーだと思う」と、Prudential Equity Groupのアナリスト、Steven Fortunaは調査メモに記している。「Appleが、さらに大きな(潜在ユーザーを抱える)市場向けのプロセッサに切り替えれば、製品ロードマップに対する同社の管理力が弱まり、同社の提供する製品の価値が希釈される危険性が高い」(Fortuna)
こうした懸念の影響から、6日午前のAppleの株価は約0.5%下落した。
しかし、長期的に見ればこの計画のもたらすチャンスはリスクを上回るはずだと、アナリストらは述べている。たとえば、AppleはIntelチップへの切り替えによってMacの価格を下げることが可能になり、デスクトップやノートPC市場で競争力を高められると、彼らは指摘する。
「Appleはシステムの価格を100ドル前後下げられるかもしれない。消費者向け製品の価格を下げられるのは、Appleにとって好ましいことだ」と、Banc of America Securitiesのアナリスト、Keith Bachmanは調査メモに記している。
Intelチップに移行すれば、AppleはノートPCの性能とバッテリー駆動時間を改善できるかもしれない、とBachmanは指摘する。また、IntelのほうがIBMよりもAppleに安定したプロセッサの供給を行える可能性があるうえ、Intelチップ採用によって多数のソフトウェア開発者がAppleに関心を持つようになるかもしれない、とPiper JaffrayアナリストのGene Munsterは自らの調査メモに記している。
この報道を受け、Intelの株価は約17セント下落した。IBMの株価も同様に63セント下がっている。両社の株価の下落率はともに1%未満だ。
IBMは、MicrosoftのXbox 360やソニーのPlayStation 3、任天堂のRevolutionに、それぞれプロセッサを供給する契約を結んでいる。AppleのIntelチップへの移行によるIBMの損失はこれらの契約で相殺される可能性が高く、IBMにとって大きな痛手にはならないだろうと、アナリストらは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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