Sun Microsystemsは米国時間2日、StorageTekを約41億ドルで買収すると発表した。大きな成長は見込めないものの、業界内で確固たる地位を確立したStorageTekを買収することで、Sunは自社の財務状況を改善したい意向だ。だが、これはSunにとって大きな賭けでもある。同社にとって、これが大規模な現金取引をできる最後のチャンスだからだ。
Sunは、保有する現金および有価証券74億ドルのうち41億ドルを、StorageTekの買収に投じる計画だ。買収の完了は夏の後半から秋の初めになると見られている。SunはStorageTekの手元資金11億ドルを手に入れられるものの、今後、今回と同じくらいの規模の買収を行うことは困難になる。
Sunは現在、サーバの販売を強化したり、ソフトウェア製品のオープンソース化を推進したりするなど、主力事業の再建に取り組んでいる。しかし、今回の買収により、Sunが最も大きな利益を上げられると考えているのはストレージ事業であることがわかる。
Sunのストレージ担当エグゼクティブバイスプレジデントMark Canepaは取材の中で、StorageTekの事業は安定しており、同社の営業担当1000人を迎えることでSunのストレージ担当営業は従来の3倍以上に増えると語った。さらに、StorageTekの営業担当が加わることで、IBMメインフレームを利用するStorageTekの上級顧客に対し、サーバや認証管理ソフトウェアといったSunの製品を宣伝しやすくなる。「彼らはIBMの顧客企業に自由に出入りできる」(Canepa)
しかし、一部の金融アナリストは、最高経営責任者(CEO)Scott McNealyが最優先事項に挙げる売上は、StorageTekを買収したからと言ってすぐに増大するものではないと指摘する。
PrudentialのアナリストSteve Fortunaは2日、報告書の中で「Sunが保有現金の40%を割いてまで、StorageTekを買収することの合理性には疑問をもっている。今回の買収で、Sunの売上や利益が大幅に改善するとは思えない。自社株10億株を買い戻し、従業員1万人を解雇する方が理にかなっている」(Fortuna)
Bear StearnのAndy Neffも、この行動が賢明なものかどうか疑問を呈した。同氏は、1株当たりの利益を大幅に増加させる企業を買収することは良い現金の使い方であるとしたうえで、「テープを記憶媒体とする装置の成長率が好ましくないことを考えると、今回の買収にはSunにとっての戦略的メリットがない」と言う。
StorageTekは、4月1日締めの前四半期決算で前年同期と同じ2300万ドルの純利益を計上した。しかし同四半期に計上した売上は、前年同期の5億1500万ドルよりも3%少ない4億9900万ドルだった。
これに対しStorageTekは、2005年の残りの四半期は業績が上向くとの予測を示し、Canepaもデータ管理こそがコンピュータ業界のなかでも最も急速に成長している分野だと主張した。Sunは、買収の成果は12カ月以内に表れ、業績は改善すると述べる。
Neffは、First Callがまとめたアナリストらの予測をもとに考えると、StorageTekの2005年における純利益は2億ドル近くに達するだろうと言う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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