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対談:日米Yahoo! Searchのキーパーソンが考える真の検索 - (page 2)

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--情報へのアクセス方法には、カテゴリなどを絞り込んで目的の情報にたどり着くブラウズ型と、キーワードなどで候補を表示させるクエリ型があると思います。それぞれのよい面、悪い面はどんなところでしょう。

 Pedersen:クエリ型検索の精度はたしかに向上してきましたが、初心者には敷居が高いところがあると思います。ユーザーは何を、どう打ち込んだら正しく検索できるのかを悩んだ上で、それをタイプしなければなりません。ユーザーに少しでも苦労をかけないのをよしとするなら、1つ、2つの簡単なキーワードを出発点に、より目的の情報に近づけるにはどうしたらいいか、補助的な情報を表示するAssisted Search(アシスト付きサーチ)といった方法もあると思います。

--そうしたユーザーの中には、自分がどこに行きたいかすらわかっていない人もいますよね。

 Pedersen:その通りです。そういう場合は、キーワードがないと何も始まらないクエリ型よりも、まずどこへ行けるのかがわかるブラウズ型が有利です。どちらがいいという問題ではなく、選択肢としてはどちらもあって、それをある程度使い分けるのがベストなのではないでしょうか。

 井上:ところで、インターネット検索の黎明期から、我々は1ページあたり10から20の検索結果を表示するという手法を踏襲し続けています。これについてはどうお考えですか。

 Pedersen:そろそろブロードバンドを前提にしたSRP(Search Result Page、検索結果ページ)の新しいメタファーを考える時期かも知れません。私もたまに考えています。ユーザーが操作をしようとする際に、いろいろ補助的な情報を表示する、といった具合にもっとインタラクティブなページにするなど、いくつかアイデアがあります。

 井上:私は人々が検索サービスをどう利用するのかということにそのヒントがある気がします。多くの人はSRPで、まずは最初の候補をクリックして、そのページを見る。自分が求めている検索結果とは違うと考えれば、SRPに戻って次の候補を試す。こういったことを繰り返していると思います。ですから、SRPでその先に何があるかもう少しわかりやすいように工夫をするのが重要だと考えています。

 Pedersen:そうですね。画像検索だとSRPに表示されるのは、縮尺されてこそいるけれど、検索先にある情報そのものが表示されます。これに対して文字の検索結果では、要約文章から想像したページと、実際のページの内容がかけはなれていることがあります。そういう前提で、ブロードバンド時代のユーザーインターフェースを考えてみると、例えば余っているバンド幅を活用して、SRPにある全ページをプリロードしておいて、各候補にカーソルを近づけると、リンク先のページのイメージがポップアップ表示される、といったことも考えられますね。

--検索結果のrelevancy(関連性、重要性)についてはどうでしょう。SRP上の候補がどの順番で並ぶかは、このrelevancyの評価で決まってくると思うのですが。

 Pedersen:現在、検索アルゴリズムでrelevancyが正しく評価できているかは、2通りの方法で評価しています。1つめはエディトリアル。つまり、実際にプロのエディターに検索結果を評価してもらい、重要かそうでないかのスコアをつけてもらうという方法です。

 2つめは、ユーザーの行動を観察するという方法です。時折、ユーザーに対して微妙に異なるアルゴリズムで検索結果を提示し、それにユーザーがどう反応するか見ます。例えば、上位の検索結果を頻繁にクリックするのか、次ページをめくることが多いのかといったことを記録し、その統計を評価するというものです。これらの方法で、新しいアルゴリズムが改良だったか、改悪だったかの判断がつきます。

 このテストは非常に有益である一方、大変コストがかかるので、まずオフラインでエディトリアルの評価を十分した上で、最終テストとして利用することが多いですね。一方、あまり影響のない小レベルの変更は、頻繁かつ連続的に行っています。1度の変更でどう変わったのか、ほとんどのユーザーは気づかないでしょう。ただ、一連の改良を施す前と後では、大きく変わっているのです。

 井上:その情報がユーザー個人にとって重要かということも大事ですよね。

 Pedersen:そうですね。今日ではユーザーが住んでいる場所を考慮して、より関連性の高い情報を表示するLocal Searchなど、マーケティングベースでの検索パーソナライゼーションは進んでいますが、それ以外の点でのパーソナライズも、これから重要になってくるでしょう。

 米国では、つい先日「My Web」というパーソナライズド検索サービスを立ち上げたところです。このサービスでは、検索結果の中でも特に重要なものを保存できます。こうすることによって自分が関心のある情報だけしかないWorld Wide Webのサブセットをつくることができるわけです。

 井上:そういうパーソナル検索が広がってくると、オークションやショッピングといった他のサービスをも持っている我々の強みがでてきますね。

 Pedersen:その通りですね。人の趣向を推し量る上では、検索以外のサービス利用状況など、どんなことでもヒントになると思います。パーソナライズド検索では、それがDiscovery(発見)なのかRecovery(回収)なのかが重要になってきます。パーソナライズド検索は、多くの場合、既に見た情報を取り戻そうというRecovery作業になっています。これは技術的には大変簡単に実現できます。

 ただし、ユーザーがストックしたデータがどんどん増えてきて、何を見たかも忘れ始めたとなると、これはDiscoveryの問題になって、結局は今日の検索と同じアルゴリズムに頼ることになります。実はここで比重の置き方が問題になります。ユーザーが記録したウェブページが増えてくると、「あまり関連性のないページに、たまたま検索キーワードが含まれている」というケースが生じ始めます。ここで下手に、過去に見た情報に比重をおいてしまうと、混乱が生じてしまいます。

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