--VoIPを使ったインターネット電話が広がれば、ITUの存在価値はなくなると思いますか。
そのような心配はまったくしていません。ITUは1865年に設立されました。その歴史は140年におよびます。ご存じかどうか分かりませんが、ITUは米国のある高名な学識者グループから、世界で最も長い間、その価値を維持している組織のひとつに選ばれました(編集部注:Zhaoは2004年12月にコンサルティング会社Booz Allen Hamiltonが発表した報告に言及している)。
ITUの状況は合衆国憲法と似ています。われわれは非常に動的な組織です。市場の変化に迅速に対応し、必要な援助を提供することで、人類社会の発展に寄与してきました。1865年5月に設立されたとき、ITUの役割は電報システムを構築することにすぎませんでした。
--今年9月には世界情報社会サミットが開催されます。この会議が成功した場合、どんな成果がもたらされるのでしょうか。
とてもよい質問ですね。あまり要望が具体的だと、それが実現しなかった場合に落胆するかもしれません。そうではなく、われわれはこの会議を、またとない協力の機会だと捉えています。
--あなたの理想通りにことが運んだとしたら、どんな成果が出るのでしょうか。
私の理想通りに・・・国際的な取り組みというのは、必ずしも万人を満足させるものではないと思います。妥協点を探らなければなりません。この会議も、すべての人を満足させることはできないでしょう。
--それは分かりますが、ITUとしては、どんな成果をあげたいと考えているのですか。
個人的な意見を申し上げるなら、国連が引き続き、この問題に取り組むことが認められれば、喜ばしいことだと思います。
この問題は既存の機関に任せるのではなく、新しい機関を作り、その機関に委ねるべきだという意見があります。しかし、もしICANN、ITU、UNESCO(国連教育科学文化機関)、そしてWIPO(世界知的所有権機関)がお互いの価値を認め、協力するなら、特別な(インターネット統治)機関をあえて設立する必要はありません。
--ICANNは米国政府から独立した機関であるはずです。しかし、DENIC(ドイツのトップレベルドメイン「.de」の管理事業者)は「.net」ドメインの管理事業に名乗りを上げたとき、幹部をワシントンDCに送り、連邦議会とブッシュ政権に働きかけました。米国政府の関与は問題だと考えられているのですか。
ある程度は、そうです。この問題が国連や(世界サミット)準備会合の重要議題に掲げられているのはそのためです。一部の人は、ICANNの拠点がカリフォルニアにあることを強く批判しています。この問題には何らかの対処が必要でしょう。
ITUがアドレスの割り当てを担当することになれば、国、地域、および国際ドメインを自由に選べるようになります。これはインターネットの発展にとってもよいことだと思います。
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