三洋電機と日本IBMは、燃料電池とリチウムバッテリーを使ったノートPC用のハイブリッド電源システムの実用化に向けて、共同で研究開発を行うと発表した。
今回発表したハイブリッド電源システムは、ダイレクトメタノール型の燃料電池を用いる。ダイレクトメタノール型とはメタノールを直接電池に供給し、化学反応によって電力を起こすもの。メタノールから水素を取り出して燃料にする固体高分子型にくらべ、小型化することが可能だ。リチウムイオンバッテリーはThinkPad用のバッテリーパック「ウルトラベイ・スリム リチウム・ポリマー・バッテリー・パック」 を利用する。発電は燃料電池で行い、リチウムポリマーバッテリーが蓄電する形だ。「3Dアプリケーションの駆動など燃料電池だけでは電力が足りない場合には、リチウムポリマーバッテリーからも電力を供給する」(三洋電機)
両社によれば、今回のシステムはAC電源の口にコードを差してPCに電力を供給するため、既存のThinkPadに接続して使用することができるという。また、ノートPCの稼動中でも燃料カートリッジを交換できるホットスワップにも対応する。燃料電池1個あたりの連続稼働時間は約8時間だが、交換しながら利用すれば時間の制限なく利用できる。「現在開発しているような電源システムが実用化されれば、オフィス内でのパソコンの完全ワイヤレス化という、快適な職場環境が実現できる」(両社)
両社はThinkPadが市場に登場した1992年頃からノートPC用電池に関して協力関係にあり、今回のシステムの研究開発もこの延長線上にあるという。IBMのPC事業は中国Lenovoに売却されることが決まっているため、今後はLenovoが設立する予定の新会社が研究開発を引き継ぐことになる。新会社の日本法人代表には日本IBM理事 PC&プリンティング事業担当の向井宏之氏が就任することが内定している。
両社はハイブリッド電源のコンセプトモデルを開発しており、サイト上ではデモの様子を動画で紹介している。2008年頃の実用化を目指しており、将来的にはノートPC本体に内蔵する燃料電池を開発する計画もあるとしている。
コンセプトモデルのスペックは以下の通り。
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