Wi-Fiを導入する大企業が増えるなか、機器メーカー各社が、異なるベンダーから提供される製品間での相互運用性を実現しようと、標準技術策定に向けた取り組みを進めている。
社内でのデータ送受信を行う無線LANアクセスポイントと、これらを集中制御する無線LANスイッチの相互運用性実現は、かねてから課題となっていた。中央の無線LANスイッチで複数のアクセスポイントを一元管理したり、セキュリティを強化したりすることを望む企業はこれまで、同じメーカーから製品を調達する必要がある。
このような状況のなか、異なるメーカーから提供される無線LANスイッチとアクセスポイント間での相互運用性を実現しようと、メーカー各社が標準策定に向けて協議を開始している。
Cisco Systemsのワイヤレス事業部でCTOを務めるPat Calhounは、「(標準が策定されれば)顧客はメーカーを自由に選択できるようになる。革新的な無線技術を提供している企業がたくさんある。これらをうまく組み合わせる選択の自由を顧客に提供したい」と語っている。
新興企業のAruba Wireless NetworksとTrapeze Networksは先週、相互運用性実現に向けた提案を標準化団体のIETF(Internet Engineering Task Force)に提出した。IETFでは、Control and Provisioning of Wireless Access Pointsと呼ばれる作業グループが、Cisco、Siemens、松下電器産業から提出されたほかの3件の提案と、この新しい提案の審査を進めている。標準の最終決定は、2006年以降になる見通し。
業界では多くの人が、CiscoによるAirespace買収が標準技術策定を進行させるうえで重要な役割を果たしたと考えている。Ciscoなどの大手が標準に準拠した製品を提供すれば、小さな企業もCisco製品との相互運用性を自社製品に持たせようと努力するからである。Arubaは既に開発者にソースコードを公開し始めており、TrapezeもOpen Access Point Initiativeを発表している。
ArubaのCTO、Merwyn Andradeは、「CiscoによるAirespace買収は、無線LANスイッチとアクセスポイント市場を活性化させるのに一役買った。これにより、標準の策定に関心を示す企業も増えた」と語っている。
しかし、Arubaなどの中小企業は、Ciscoが自社の提案の推進する過程で標準化団体に影響力を行使するのではないか、と神経をとがらせている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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