Cisco Systemsは、過去20年間にわたり、ネットワーク機器市場の頂点に君臨してきた。しかし、これからの20年間もそうなるとは限らない。
今、通信市場は猛スピードで変わりつつある。電話会社は合併を進め、自社の音声/データネットワークをインターネットに統合することで、コストを削減しようとしている。近い将来には、電話からテレビ番組まで、ありとあらゆるものがインターネット・プロトコル(IP)ネットワーク上を流れ、ブロードバンド回線を通して、各家庭に届けられるようになるだろう。
企業も、規模の大小を問わず、アプリケーションやプロセスをインターネットに移行させつつある。その結果、海の向こうの事業所とも、同じ階にいるかのように、スムーズなやり取りを行うことが可能になっている。
インターネット機器市場の世界的リーダーと目されるCiscoは、この通信革命について自社に利益をもたらすものだと主張している。だが、Ciscoにはもう先頭を走り続けるだけの闘志も技術的ビジョンもないと考える人々もいる。
CiscoはイーサネットスイッチとIPルーターの販売で一時代を築いた。しかし、市場は急速に変化しており、競争力を維持するためには、新しい製品やサービスを投入していかなければならない。Ciscoは首位を守るために、6つの技術を「先進技術(Advanced Technologies)」と位置付け、重点分野としている。その6つとは、ストレージエリアネットワーキング、ワイヤレス、IPテレフォニー、ホームネットワーキング、オプティカルネットワーキング、そしてセキュリティだ。
これらの先進技術分野の売上は、今のところCiscoの総売上の20%にも達していない。だが、これらの分野は成長率が最も高く、Ciscoの未来を左右する重要な存在になると見込まれている。
CNET News.comは先ごろ、Ciscoの最高技術責任者(CTO)Charles Giancarloにインタビューを行い、同社が注目している技術や、近年の通信業界再編がもたらす影響について話を聞いた。
--通信業界再編の動きをどう思いますか。まずはSBC CommunicationsがAT&Tの買収を発表し、最近ではVerizon CommunicationsがMCIの買収に意欲を燃やしています。これらの動きは通信業界やネットワーク市場全体にどんな影響を与えるのでしょうか。
通信業界は大規模な再編を必要としています。米国の通信市場は非常に細分化されており、それが業界全体にマイナスの影響を及ぼしてきました。たとえば、通信事業者は自分たちの環境を特別なものと考え、独自のやり方で内部ネットワークを構築しているため、ベンダーは電話会社が100社あれば、100通りの要件に対応しなければならなくなっています。
業界再編が進めば、準拠すべき標準とアーキテクチャの数が減るので、ベンダーはもっと容易にソリューションを構築することができるようになるでしょう。そうなれば、機器市場でも大規模な再編が起こるはずです。
--合併によって、通信業界や機器メーカーの成長にブレーキがかかる可能性はありますか。
再編が起これば、企業は多かれ少なかれ、組織の改編を迫られますので、その間は意思決定のスピードに何らかの影響が出る可能性があります。それは仕方のないことです。しばらくの間、成長率は鈍化するかもしれません。しかし長期的にみれば、これは不可避であるだけでなく、業界の健全な成長を促すものでもあるのです。
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