三洋電機は3月23日、業績の下方修正を発表し、2005年3月期の連結最終損益が1210億円の大幅赤字になるとした。三洋電機については、昨年10月起きた新潟県中越地震の影響による半導体子会社の新潟三洋電子(小千谷市)の重大な被害に伴う損失など特別な要因はあるものの、デジタルカメラや携帯電話など、デジタル家電関連の予想以上の不振も業績下方修正要因となっており、市場関係者からは「ほかのハイテク関連企業の業績にも下方修正の懸念が新たに浮上してきた」との見方も出ている。
三洋電機は、23日に今3月期の連結業績の下方修正を発表したことが嫌気され、翌日24日の株価は前日比16円安の336円と売られた。2005年3月期の連結業績について、従来予想の売上高2兆5290億円を2兆4950億円へ、営業利益600億円を430億円へ、税引前損益470億円の赤字を640億円の赤字へ、最終損益710億円の赤字を1210億円の赤字へとそれぞれ下方修正した。
新潟県中越地震による半導体部門の被害や、デジタルカメラ、携帯電話の競争激化による採算悪化、さらに繰延税金資産の取り崩しなどが赤字幅を拡大させる結果となった。繰延税金資産の取り崩しは、将来収益が大幅に回復するという前提が崩れたためで、来期の業績も厳しい状況が続く見通しだ。
具体的には、新潟県中越地震に伴う半導体生産設備の操業停止による売上高の減少740億円を見込んでいるのに加え、デジタルカメラの年間生産台数について従来計画の1400万台から1100万台程度へ、携帯電話も同1350万台から1045万台程度へとそれぞれ下方修正される見通しだ。デジタルカメラは価格低下が厳しく利益を圧迫しており、携帯電話は北米などの海外向けが低迷している。同社が1000億円を上回る最終赤字を計上するのは初めてだ。こうした赤字の拡大を受け期末配当を見送るが、半期ベースで無配となるのは1954年の上場以来初めてとなる。
こうした業績の下方修正を受け、ゴールドマン・サックス証券会社では24日付でレーティング(投資判断)を「インライン」(中立)から「アンダーパフォーム」(弱気)に引き下げた。「株価の本格底入れはまだ先。来期は無配の可能性も」と指摘している。さらに同証券では「1株純資産197円から、株価(現在の300円台)の説明要因は乏しい」ともしている。その他のレーティングでは野村証券が「4」(やや弱気)、UFJつばさ証券が「C」(やや弱気)、日興シティ証券が「2H」(中立・高リスク)をそれぞれ継続している。
一部市場関係者は「三洋電機の大幅赤字は地震被害などで特別との見方もあるが、デジタルカメラや携帯電話の不振は主力ハイテク企業に共通した問題。今後、3月決算期末を終えて、ほかの企業が業績を改めて下方修正してくる懸念が広がっている。さらに、株式市場ではすでに来期の業績動向を読みはじめており、この点でも不透明感が広がっているようだ」としている。
このため、株価は昨年11月27日につけた昨年来安値330円に近づいていく可能性が高く、昨年来安値更新もあり得る。ただ、チャート面では、大勢的にはこの収益の悪化は株価にかなり織り込まれてきたともみられ、昨年来安値水準からさらに大きく下押す公算は小さそうだ。しかし、来期の業績復調があまり期待できないことから、日柄面の調整はかなり長引くことになりそうだ。
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