アリゾナ州スコッツデール発--Brightcoveは、大手映画会社と契約していない映画製作者が自作映画を消費者に直接販売できるサイトを、今年中に立ち上げる。Brightcoveは、Macromediaの元最高技術責任者(CTO)のJeremy Allaireが2004年に設立した企業。同社が販売するもののほとんどは、映画といっても、2時間ものの大作ではない。同サイトは主に、新進のアニメーション作家やフリー制作者、スポーツの決定的瞬間や天災などの映像を偶然カメラに収めた人などを対象に、披露の場を提供する。
Allaireは米国時間21日、当地で開催中のPC Forumで「著作権保有者には完全な権限が与えられる」と述べた(PC Forumは、News.comを運営するCNET Networksが主催するイベント)。
消費者向けの製品を扱う新興企業にとって、ビデオ・オンデマンドは、 インターネット家電やソーシャルネットワーキングに取って代わる流行語となっている。なかには、EZTakesのように、DVDへのコピーが可能な映画をブロードバンド経由で家庭に配信したいと考える企業もある。その一方で、ObjectCubeのように、この方法で既にアダルトコンテンツを配信している企業もある。同社がアダルトコンテンツに特化している大きな理由は、大手映画会社がインターネットを介したコンテンツ配信に対していまだに及び腰だからだ。
これまでのところ、この分野で成功している企業もあるが、消えてしまった企業も多い。
Brightcoveの目標は、独学でグラフィックアーティストとなり、Rustboyというアニメーションを生み出したスコットランドのBrain Taylerのようなアーティストのための娯楽配信ポータルを作ることだ。一部の地域でしか上映されないスキー映画の監督Warren Millerも、Brightcoveが対象としている映画制作者の定義に当てはまる。Allaireは、TaylorやMillerが同サービスに参加するか否かについては言及しなかったが、PC Forumの講演で同技術のデモを行う際に彼らの作品を上映した。
映画制作者は自作映画をBrightcoveのサイトで販売する。また、同サイトはどんな映画を扱うかを決めるにあたり、ユーザーの意見を活用する。消費者は、作品を1本ずつ購入するか、サブスクリプション契約を行って作品を視聴する仕組みになると思われる。
同サイトはこれらの映画の販売支援や広告を通じて収入を得る。
当面は「ハリウッド映画のような大掛かりなコンテンツには期待していない」とAllaireは言った。「ただし、アダルトコンテンツは扱わないつもりだ」(Allaire)
無名の作品を扱ったビジネスは成立するのか。この問題については意見が分かれるが、Allaireは少なくともそういったコンテンツは大量に存在すると想定している。Brightcoveはいかがわしい映画や法的に問題がありそうな映画を見つけ出すために自社サイト内をパトロールする必要があるだろうと、Allaireは言う。誰かが指を切り落とすシーンを撮影したホームムービーは、同サイトには多分掲載されない。
Brightcoveが無名のアーティストに注目するのは、映画会社やケーブルテレビ事業者の契約を取りつけることが、いかに困難かの証左でもある。
「映画会社やケーブルテレビ事業者と、合理的な契約を交わすに至るまでには、非常に厄介で複雑なプロセスを踏む必要がある。これは大きな問題だ」(Allaire)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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