Spolskyは、1990年代前半にMicrosoftでMSN製品の開発に一時期携わっていた経験から、長時間労働の何たるかは承知している。
「夕食に間に合わないのは日常茶飯事だった」(Spolsky)
Microsoftに労働時間の変化に関するコメントを求めたが回答は得られなかった。同社は声明を出し、労働時間に基準はなく、製品開発のフェーズによって社員毎に労働時間は変わってくる、と述べている。
「このような勤務時間体系はソフトウェア業界にとって典型的なもので、それはMicrosoftでも変わらない」(Microsoft)
Microsoftはさらに「優れた労働/生活環境が職場への愛着を生み、創造性を育むことは十分に理解している。社員の成功を支援すること、そして職場と家庭の両方の生活に役立つ多数のツールやリソースを提供することに努力している」とも述べた。
柔軟な対応をとる企業が増加
Microsoftなどの各社で、従業員が家族の要求に応えられるよう提供されている支援策の1つが、コンピュータネットワークへのリモートアクセスだ。
調査会社RedMonkのアナリストStephen O'Gradyは、「多くの人のライフスタイルを最も大きく改善したのが在宅勤務の普及だ。主要ソフトウェアベンダーの多くがこの手法を支持し、これを奨励するところもある。ただし、在宅勤務が社員の生活の質に非常に大きな影響を与える一方で、実際には作業時間が延びている」と述べている。
調査会社GartnerのアナリストDiane Berryによると、社員の燃え尽き症候群や雇用の不安定化もプログラマの労働時間短縮の要因になっているという。
「レイオフを実施する会社の多くは、過去の勤務態度に関係なく対象者を選ぶ」(Berry)
少なくともMicrosoftのBarrは、勤務時間が短縮されたことに満足している。週50〜60時間の労働は生活を狂わせる、と同氏は語っている。
「そうした長時間労働が続くと、家族と一緒に夕食をとれなくなり、常に職場にいなくてはならないという強迫観念に襲われるようになる」(Barr)
近年では、大規模なレイオフや海外へのアウトソーシングなど、ソフトウェア業界で働く人間の側でもさまざまな問題に職面している。この憂鬱な状況のなかで、労働時間の短縮はプログラマにとって文字通り明るい展開といえる。狭いオフィスを飛び出し、もっと多くの時間を野外で過ごせるようになったのだ。
数年前、Windows NTの開発に携わっていたBarrは、万が一コーディングに関する緊急事態で呼び出されたときのことを考え、週末に予定していた友人との筏下りをキャンセルした。結局、ソフトには何も問題は起こらなかったが、Barrは参加できなかったことを今でも悔やんでいる。「もう行かないだろうし、誘われることもないだろう」(Barr)
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