ドイツ、ハノーバー発--Fujitsu Siemensによると、トランジスタの層の接続に銅線ではなくカーボンナノチューブを使ったマイクロプロセッサが、10年以内にも登場する見込みだという。
Fujitsu Siemens最高技術責任者(CTO)のJoseph Regerは、現地時間10日に当地で開かれたCeBitで記者会見を行い、同社がカーボンナノチューブ技術のプロトタイプを開発し、現在量産の手法を模索しているところだと述べた。「量産には少なくとも6〜7年かかる」(Reger)
Regerは、この技術がいままでのものよりも強力なプロセッサの開発に必要になると説明した。
「世界最初のマイクロプロセッサは、Intelが1971年に製造したものだが、そこにはわずか数千(のトランジスタ)しか載っていなかった・・・それに対し、今日のプロセッサは、およそ2億ものトランジスタを搭載している--トランジスタは信じられないペースで縮小してきている」とRegerは述べ、さらに「いまから10年後に、われわれは(トランジスタの集積ペースを維持するために)この技術を必要とすることになる」と付け加えた。
マイクロプロセッサ内部のトランジスタがある一定のサイズ以下になった場合、銅配線はトランジスタ同士の接続には使えなくなる。線上を通り抜ける電気の流れが、隣接する配線上の信号の流れに干渉するからだ。
「マイクロプロセッサのサイズが40ナノメートルをきった時点で、銅配線は機能しなくなる。このレベルでは電子が放射しはじめる」(Reger)
これに対し、カーボンナノチューブを利用すれば、この干渉のリスクを大幅に低減することが可能になる。「ナノチューブは(銅配線に比べて)放射なしに1000倍の力を引き出すことができる」(Reger)
Intel共同創業者のGordon Mooreは先週、カーボンナノチューブをトランンジスタにではなく内部接続(インターコネクト)に用いることで、プロセッサへの組み込みが容易になるだろうとの予測を示していた。インターコネクトは大きな問題を抱えているほか、シリコントランジスタのほうが効率性が高く、またその開発に多くの投資が行われていることから、これに取って代わるものが登場するのは難しいだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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