サンフランシスコ--果たして、セマンティックウェブはインターネットに革新をもたらす技術なのか、それとも、人々に広く活用してもらう方法を見い出せずにいる、ただの複雑な技術なのだろうか?
これは、今週当地で開催中のSemantic Technology Conferenceに出席した人々が解決したいと願っている疑問の1つだ。4日間にわたって開催されている同カンファレンスには、セマンティックウェブ技術を企業内で活用する方法について話し合うべく、同技術の標準化に取り組む専門家やベンチャーキャピタリスト、コンピュータ科学者、IT企業幹部が集結している。セマンティックウェブとは、コンピュータがウェブ上の多様なデータにより容易にアクセス・再利用できるようにするための技術で、World Wide Web Consortium(W3C)が標準化を進めている。
同技術の標準化を支持する人々は、広がる懐疑論を抑えようと躍起だ。彼らは、大手技術企業の間でセマンティックウェブ技術が採用され始めていることに触れ、このことがインターネット新時代の到来を意味していると述べる。
W3CのディレクターTim Berners-Leeを筆頭とするセマンティックウェブ技術の支持者たちは、同技術の出現を10年前のウェブ時代の幕開けに例え、声高に売り込んでいる。ウェブが、その進化の過程で既存の様々な技術だけでなく、ハイパーリンクシステムなどのような革新的な技術を備えるようになったのと同様に、セマンティックウェブも世界中のコンピュータネットワークから情報を収集するためのパワフルな手法を生み出すだろう、というのが彼らの主張だ。なお、WWWを考え出した功績が称えられ、Berners-Leeには昨年、ナイトの称号が授与されている。
先の支持者らの意見に対し、個人のプライバシーや技術の複雑性について懸念の声を上げる人も多い。W3Cのセマンティックウェブプロジェクトに批判的な立場をとる者たちは、これを失敗に終わった人工知能スキームになぞらえ、WWWで利用される「優れた」プロトコルを維持するという、W3Cの本来の使命が忘れ去られてしまうとの懸念を表明している。
Burton GroupのアナリストPeter O'Kelleyは、「ウェブ上での一段と洗練されたナレッジマネジメントへの取り組みに反対するつもりはない。しかし私には、彼らが解決しようとしている問題が明確になっていないように思われる・・・セマンティックウェブが、今日の技術ほど広範囲に応用されることはないだろう。Timの意見はもっともではあるが、現状を見てもウェブにはまだまだ十分な可能性がある」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」