三重県情報通信基盤整備協会、三重テレビ放送、KDDI、ウェザーニューズの4者は2月24日、地上デジタル放送を利用して、携帯電話に緊急地震速報を配信する実験を行うと発表した。実際の地上デジタル放送波を利用した携帯電話向け防災情報の提供試験は今回が国内で初めてという。
実験では携帯電話向けの地上デジタル放送、「1セグメント放送(1セグ)」を利用して、気象庁が提供している緊急地震速報を配信する。緊急地震速報は、地震のP波(震源から発生する地震波のうち、揺れを伴わず速度の速い波)とS波(地面の揺れを起こす波)の速度の差を使って震源地や各地の震度などを予測したもの。P波を感知した時点で揺れの大きさを予測し、S波が届く前に住民に知らせることで被害の軽減を目指している。
KDDIが開発した地上デジタルテレビ受信機。各地点の震度とS波(地震)到来までの時間がアイコンで表示される。色が赤に近いほど危険度が高い |
たとえば、震源地から100km離れた地点では、P波が届いてからS波が届くまで約10秒の間があるという。「この間にキッチンの火を消したり、机の下に潜ったりできる」(三重テレビ放送 取締役 総務局長 技術局長 経営企画部長の別所正章氏)。また、津波予報は現在、地震発生から約3分後にテレビで流れるが、この仕組みを使えば発生から30〜40秒で予報を知ることができ、迅速な対応が可能になるとのことだ。
端末はKDDIが開発した地上デジタルテレビ受信機を使う。緊急地震速報を感知した場合、KDDIから携帯端末にメールが配信され、そのメールを受信した端末は自動的に電源が入り、放送受信機能が作動するようにした。この機能はウェザーニューズが開発したという。ただしメールを使うため、遅延が起きて放送を受信したのが揺れの起きた後だった、という可能性もある。このため、「将来的には放送波を使ってこの機能が作動するようにしたい」と別所氏は話している。
実験は三重テレビのデジタル放送試験電波が届く三重県内で行われる。受信端末は10台ほど用意され、三重県知事や三重県庁の防災機器管理局長などが実験に参加する。期間は3月14日から25日まで。これに先立ち、3月11日には三重県内のホテルで一般を対象としたセミナーも開催される予定だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス