セッション3-bでは、今後のモバイルビジネスの鍵を握る決済手段とTV放送との連携について議論が行われた。サイバード代表取締役社長の堀主知ロバート氏をモデレーターに、ビットワレット 執行役員 企画部 統括部長の宮沢和正氏と日本テレビ メディア戦略局 メディア戦略部の佐野徹氏が、それぞれの戦略を紹介した。
1956年生まれ。東京工業大学大学院卒。経営工学修士。1980年、ソニー入社。ソニー・エレクトロニクス・マレーシア、ソニー パーソナルビデオ事業本部、BIS事業本部、米ソニー・エレクトロニクス、ソニー DNSカンパニー Network Finance Service事業部を経て、2000年、CSNC ICカード事業部 総合企画室 統括部長。2001年よりビットワレット株式会社出向。現職。
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1992年、京都大学工学部卒業、三井物産入社。同社情報通信事業部 移動体通信営業部、ベトナム ハノイ事務所、メディア事業部インターネット事業室マネージャーを経て、2000年10月日本テレビ放送株式会社入社、現職。デジタル放送全般、テレビ・モバイル連携による新規ビジネスの企画・立案・推進業務を担当。キー局6社合同による「地上デジタル放送 携帯サービス検討会」幹事として地上放送事業者、携帯電話事業者、メーカー間の調整の上、放送規格内容の取りまとめ業務を担当。
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1965年、米国ワシントン生まれ。関西学院大学卒業後、ロンドンへ留学。帰国後、母親が手がけていた新ホテル建築プロジェクト、競走馬の栄養管理会社の設立などに参画。1994年、会員制インターネットポータルサイト運営を手がけるパラダイスウェブを設立、代表取締役に就任。1998年、モバイルコンテンツおよびソリューションの提供等を行うサイバードを設立、代表取締役社長に就任。 |
宮沢:ではまず私から、ビットワレットの説明をさせて頂きます。ビットワレットはプリペイド型電子マネーサービス「Edy」を運営・推進する会社で、2001年1月に家電、通信、金融、自動車など11社が出資して設立されました。Edyに関してはソニーの出井会長から「フォーマット競争をしたくないので、ソニーの色を消せ」と言われました。日本を代表する強い企業に参画してもらってデファクトスタンダードにしようと考え、このような資本になっています。
ちなみにEdyという名前は、ユーロ(Euro)、ドル(Dollar)、円(Yen)の頭文字を取ったものです。VISAやMasterCardに負けない、日本発の決済手段を作りたいという気持ちが込められています。
Edyの発行枚数は2004年10月末時点で累計650万枚となっています。このうち、携帯電話での利用が13万件あります。現在は毎月50万枚ほど発行していますね。利用できる場所も増えていて、最近多いのはアミューズメント関連施設です。例えば全国にあるセガのゲームセンターでEdyの導入が進んでいます。ほかにも、スカイパーフェクTV!のペイパービュー課金などもできるようになっています。
NTTドコモのiモードFeliCa対応携帯電話で、Edyが使えるサービスも始まっています。iモードを利用して、登録したクレジットカードから入金することができます。パスワードを入力すれば打ち出の小づちのようにいくらでも使うことができる。モバイルATMのような存在になると思います。
オンラインで支払いを行う「Mobile Edy」というサービスもあります。決済は次のように行われます。利用者はまず、ホームページ上で商品を選んでメールアドレスを加盟店に通知します。加盟店はビットワレットに決済を依頼します。するとビットワレットが利用者にMobile Edy決済開始のメールを送信します。利用者はメールをクリックしてアプリを起動し、支払処理を実行します。決済にメールを利用するのは面倒だという声もありますが、これによって携帯電話だけでなく、様々なプラットフォームに対応することができます。
Edyケータイにはポイントカードの機能もあります。複数のポイントカードを1台の携帯電話に集約することができるわけです。アンケートによれば1人平均9.5枚のカードを持ち歩いているそうですが、これを使えば複数のカードを持ち歩く必要がなくなります。
飛行機でためたマイルがEdyに変換できるといったように価値が流通していけば、キャッシュバックなどのマーケティングツールに活用できます。広告との連携も面白いと思いますね。
堀:Edyは先払い方式を採用していますね。クレジット会社と連携して後払いにできたほうが便利だという意見もありますが、いかがでしょうか。
宮沢:クレジットの場合、Edyのような小額課金ではコストが合わないんです。また、クレジットと違って匿名で物が購入できるのもEdyのメリットだと思います。月初めにEdyに3万円を生活費として入れるといった使い方に人気があるんですよ。
堀:なるほど。では、続いて佐野さんに日本テレビのモバイルビジネス戦略について伺います。
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