プライバシーの専門家の話では、医薬品業界やバイオテクノロジー業界の企業が、自社のオンラインでの動きを秘密にしておくことに興味を示しているという。これは、自社の人間が一般に公開されているデータベースを使ってどんな情報を調べたかが、そのデータベースにリバースエンジニアリングをかけた外部の人間にわかってしまうおそれがあるからだ。たとえば、ある企業がどんなホワイトペーパーを目にしたかという情報が、その企業が今後発売しそうな製品を推測するためのヒントになることも考えられる。
また、企業各社がIPフィルタリング技術を人材の獲得に役立てるという例もある。たとえば、トッドコムブームの最盛期には人材の確保が難しかったが、この時3ComではCiscoの従業員が自社サイトにアクセスしてきたと思われる場合に限り、人材募集のコーナーを強調するようにしていたと、Anonymizer社長のLance Cottrellはいう。また、Fowlerは大手会計事務所のErnst & YoungでもライバルのPricewaterhouseCoopers従業員を狙って、同様の措置をとっていたという。
Cottrellによれば、最大で9割の企業が自社のウェブログを分析して、競合相手に関する情報を得ているという。「競合相手のウェブサイトにアクセスすると、膨大な量の情報を相手に渡すことになる。たとえば、自分がどんな事柄に取り組んでいるか、あるいはどんな製品に興味があるのかといったことが、相手にわかってしまう」(Cottrell)
たとえば、同氏は企業Aが企業Bの買収に興味を示し、同社の経営陣や投資銀行家、企業弁護士らがBのサイトに定期的にアクセスして、財務情報やその他の関連データを集めた例を挙げている。B側ではトラフィックが急増したのを受けて、ログファイルを解析して、Aの動きを突き止めた。そして別の競合企業Cに買収を持ちかけた。このことにより、Aは「買収コストを当初に比べて1500万ドルも引き上げた」という。
また、あるカラープリンタのメーカーが、自社の新製品ページにアクセスする競合企業からのトラフィックが急増したことに気づいた例もある。競合企業のトラフィックはその後マーケティング資料に移ったが、これは競合企業側でも独自の新製品を市場に投入する兆候とになった。これを見たメーカー側は報復のために後継機を発表するプレスリリースを同じタイミングで発表し、相手の勢いをそぐ手に出たという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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