Anonymizerという非公開企業(本社:サンディエゴ)は、2003年に「Enterprise Chameleon」という企業向けのインターネットクローキングサービスを販売し始めた。企業サーバと連動するハードウェアとソフトウェアからなるこの製品は、IPアドレスを変更するサーバを使って追跡不可能なIPアドレスをランダムに生成することで、全従業員のトラフィックにフィルタリングをかけるというものだ。
Enterprise Chameleonの売り上げは、2003年から2004年にかけて500%の伸びを記録した。Anonymizerでは今年、法人部門の売上が全体の50%を占めると見込んでいる(残りの50%は個人ユーザー)。政府機関をはじめ、医薬品関連やバイオ関連の企業などが同社のサービスを利用しているという。
クローキングでは一般に、事前に設定したIPアドレスを検出すると、あるウェブページを配信するようウェブサーバーに命令する簡単なスクリプトを使う。IPアドレスはISPレベルまで追跡が可能で、特別なツールを利用すれば地理的な位置の割り出しも可能だ。IPアドレスは静的なものが多いことから、このスクリプトを使ってISP、地域、特定の企業や政府に割り当てられたアドレスの数字を識別することもできる。
IPベースのフィルタリングの実用的な例としては、地域を指定できるジオターゲティング(Geo-Targeting)技術がある。オンライン小売サイトはIPアドレスを検出することで、アラスカ在住のユーザーにはフリース素材の服を表示する、といった設定が行える。またこの技術を使って、広告主が特定のプロモーションをかけたり、検索エンジン企業がユーザーのIPアドレスを元にローカル情報を表示する、といったことも可能だ。
多くの消費者にとって、プライバシーの問題は後になって心配になる類の事柄だが、ウェブサイトを運営したり、インターネットを利用して調査を行う企業の場合、大量のデータがもたら危険性をますます強く意識するようになっている。
「簡単に追跡できる情報が増えているため、IPアドレスだけでその情報の所有者、あるいはそのIPアドレス群を所有する企業の身元を割り出せる・・・じきに、ある企業がどんなタイプのイベントを後援しているかなど、他の情報もわかるようになるだろう。そして、特定のパターンもわかるようになる」と、PricewaterhouseCoopersのAlex Fowlerは説明する。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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