Windows対Windows--マイクロソフトの違法コピー対策

Ina Fried (CNET News.com)2005年02月21日 14時27分

 Windowsの売上拡大を目指すMicrosoftが、最も身近なライバルに狙いを定めている。

 ただしそれはLinuxではない。そして、Apple Computerのファンには申し訳ないが、Macでもない。

 Windowsと売上を争う最大のライバルはWindows--いや、同OSの違法コピーだ。そして、Microsoftはこの戦いについて断固として譲らない構えを見せ始めている。

 Microsoftは、対価を支払わずにWindowsを入手した人々から代金を回収することに、これまでになく真剣に取り組もうとしており、今後コンピュータユーザーに対して同社サイトからソフトウェアをダウンロードする際、使用しているWindowsが正規ライセンスを受けたものかどうかの確認を求める計画を立てている。Windows Genuine Advantageというこのプログラムは、これまでは任意のものだったが、今年半ばまでには必須のものとされる。

 ユーザーが正規ライセンスを受けていないWindowsを利用している場合は、OSのアドオンやセキュリティパッチをMicrosoftのダウンロードサイトから入手できなくなる(ただし、Windowsに内蔵された自動アップデート機能は使えることになっている)。

 「これまではPCの売上が大きく伸びていたため、同社も静観していた」と、調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoffは述べている。

 しかし、この状況も変わり始めている。

 Windowsの売上は、PC市場全体の売上と比べて成長が鈍化し始めている。とくに、コンピュータ出荷台数の伸びに占める新興市場の割合がますます大きくなっているため、この問題は一段と深刻化している。こうした市場では違法コピーがはるかに多く出回っているためだ。

 Windowsの違法コピーを厳しく取り締まることが、利益の大きいこのビジネスを伸ばすための数少ない手段の1つだという点については、どのアナリストも意見が一致している。同時に、彼らは強硬路線を取ることのリスクの大きさも指摘している。

 Microsoftはこれまで、新興市場の取り締まりに関しては、特に慎重に進めてきた。同社は、この市場における成長には明らかに注目しているものの、違法コピーが蔓延する国々であまりに厳しい対応を取ることで、Linuxに顧客を奪われたくないと考えていた。また、Microsoftがセキュリティアップデートを提供しないことになれば、インターネット全体の安全性が低下するため、結局Windowsの正規ユーザーにも害が及ぶといった意見も出ている。

 Microsoftはこうした不安を和らげるべく、差し当たってはWindowsの違法コピー利用者もWindowsの自動アップデート機能経由でセキュリティパッチを入手できるようにする。

 こうしたリスクがあるにも関わらず、違法コピーの取り締りによる売上増の可能性は、Microsoftにとって無視しがたいものだ。

 違法コピーはMicrosoftにとって大きな問題だ。この問題から生じた被害額はここ数年で数十億ドルに上っている。たとえば前四半期の場合、Windowsクライアント部門の売上が5%増であったのに対し、PCの出荷台数はその2倍以上の伸びを記録した。昨年まで、同部門の売上の伸びは年率平均で12%だった。クライアント部門は前四半期に25億ドルの利益を稼ぎ出したが、これは47億ドルという全社の利益の半分以上に上る。このため、同部門の不調はどのようなものであっても懸念の材料になる。

 Windowsクライアント部門の責任者Will Pooleは昨年夏、金融アナリスト向けに行ったプレゼンテーションのなかで、ビジネスのカギを握る成長の機会として、Windowsの不正使用削減を挙げた。同氏は、2台目、3台目のコンピュータ購入促進を狙うTablet PCやMedia Centerなどの取り組みと並べて、この点に言及した。

 Pooleによると、中国ではソフトウェアの92%が違法コピーで、1300万台のコンピュータに違法ソフトが搭載されている計算になるという。また、コンピュータ市場の規模が中国に比べてはるかに大きい米国では、割合はわずか22%に過ぎないものの、違法コピーが使われているPCの台数は1200万台と見積もられている。

 「これはかなりの数だ。このうちの何割かに正規のWindowsを購入してもらえれば、業績は急伸する」(Rosoff)

 Directions on MicrosoftのRosoffは、次期Windows「Longhorn」のリリースが1年以上先になるため、Microsoftには売上を伸ばす手段があまりないと指摘しており、とくに法人顧客に関してはこの点が切実だという。

 MicrosoftのPooleは、昨年夏のプレゼンテーションのなかでは具体的な点は明らかにしなかったものの、新たな対策を取ることを約束していた。Pooleはそのなかで、「流通チャネルや消費者との協力を試みて、本物のWindowsの価値を理解してもらい、利益を拡大する大きなチャンスが目の前にある」と語り、さまざまな試験プログラムの早急な実施を約束した。

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