シスコ対アバイア、VoIP市場支配をめぐる競争が激化

Marguerite Reardon (CNET News.com)2005年02月14日 20時47分

 VoIPサービスをめぐってCisco SystemsとAvayaの繰り広げる綱引きがますます激しさを増すなか、大手投資銀行のMerrill Lynchが最大の焦点となっている。

 両社は先週、それぞれMerrill LynchにVoIP用機器を供給することになったと発表した。

 Merrill Lynchに対しては、もともとはCiscoが2000年にVoIP用機器を納入したが、Merrill Lynchは2003年7月にニュージャージーにある主要拠点と日本支社で使う機器の一部を入れ替えた際にAvayaの製品を採用したという経緯がある。

 Ciscoは米国時間8日、四半期決算発表の電話会議のなかで、Merrill Lynchの取引口座を奪回したと発表。これにより、Merrill Lynchでは600の支店で働く1万4000人以上のファイナンシャルアドバイザーがCiscoのVoIP製品を使用することになる。

 一方、Avayaは翌9日にMerrill Lynchとの契約を拡大したと発表した。同社によると、Merrill Lynchは全世界の拠点でAvayaのS8700というVoIP製品を利用することになったという。これらの拠点のなかには、オーストラリアやブラジルの支社と、ニューヨーク市にある本社をはじめとする米国内の多数の事業所も含まれる。Avayaのグループバイスプレジデント、Lou D'AmbrosioはMerrill Lynchの従業員1万5000人から1万8000人が、AvayaのVoIPシステムを使用することになると述べている。

 VoIP技術は、企業がデータ通信に利用しているのと同じネットワークを使って、インターネット経由の通話を実現するもの。VoIP経由の通話は、通常の電話回線の代わりに企業各社のネットワークを経由するため、Merrill Lynchのように世界各地に拠点を持つ企業は通信費を大幅に削減できる。

 Merrill Lynchの取引先がAvayaとCiscoに分かれたことは、VoIP業界における競争の激化を物語るものといえる。両社はそれぞれ自社のVoIP事業が大きく成長していると発表。Cisco最高経営責任者(CEO)のJohn Chambersは、先の電話会議の中で、同社のVoIP事業が前年同期と比べ40%成長したことを明らかにした。また、Avayaも四半期決算を発表した電話会議のなかで、自社のVoIP事業が昨年同期より57%成長したと述べた。

 この2つの会社は、VoIP市場に対して異なるアプローチをとっている。IPデータネットワーク分野から発展したCiscoは、従来の時分割多重方式(TDM)の電話サービスは提供していない。同社のソリューションを利用するためには、企業は旧式の構内交換機(PBX)とデジタル電話機を、CiscoのCallMangerソフトとIP電話機に交換する必要がある。

 これに対し、Avayaは旧AT&Tのハードウェア部門を母体とするLucent Technologiesから分離した企業で、100年以上前までさかのぼる従来の電話機器販売の伝統を受け継いでいる。同社のVoIP顧客の多くは、もともと従来の電話用機器を導入していたところが多い。その結果、AvayaのVoIP製品は、顧客が既存の電話用インフラを維持しながら、徐々にVoIPへの移行を進められるように設計されている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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