相変わらず売れ行きが好調で、携帯音楽プレイヤーの代名詞となったApple ComputerのiPodだが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の医学部では、放射線科医らが商売道具としてiPodを利用している。
彼らはiPodとあるオープンソースのプラットフォームを組み合わせ、医療分野のコスト削減を目指している。
メディカルイメージング分野を専門とするUCLAのOsman Ratib博士は、3Dレンダリング技術を必要とする高解像度画像を見るために、10万ドルもするワークステーションを買わずに済ます方法がないかと思案していた。そんな同氏が今回、同僚の放射線科医でプログラマでもあるAntoine Rosset博士の助けを借りて、オープンソースのアプリケーション「OsiriX」を開発し、Macのデスクトップシステム上で画像を見ながら電話会議ができるようにした。
「このプラットフォームは(ハイエンドのワークステーションと)同等の機能を持つ。医学コミュニティのほかのメンバーもこのプラットフォームを利用でき、しかも画像を見るために10万ドルや20万ドルといった大金を費やす必要もない」(Ratib)
Ratibはさらに、自分はオープンソース開発モデルの「熱烈な支持者」と付け加えた。同氏らは既存のコンポーネットを流用し、それに環境やインターフェースなどを自分たちで追加することで、OsiriXを開発できたという。OsiriXの開発にかかった期間は9カ月だった。
「OsiriXはすぐに普及しはじめた。われわれがどこかのミーティングでこれを披露する前に、すでに数百人のユーザーがおり、しかもあっという間に数千人単位になった」(Ratib)
高画像度画像の保存方法を探していたRatibは、Appleのもう1つの主要製品であるiPodに目を付けた。「画像を保存するのに十分な空き容量を持つハードディスクは、なかなか見つからなかった。複数の光学ディスクでも、メモリースティックでもだめだった」(Ratib)
「iPodなら60Gバイトものデータをポケットに入れて持ち運べる。私のコンピュータでさえ、それほど大容量のハードディスクは積んでいない。これは驚きだ。まさに、これこそコンシューマー向けの技術を採用する利点だといえる」(Ratib)
Ratibは、iPodを画像の保存に利用しただけではない。昨年12月にiPod Photoがリリースされると、同氏はOsiriXをiPod Photoに対応させ、医療スタッフが「キュートで人目を引く」方法で他のスタッフに画像を見せられるようにもした。
iPodを含むすべての持ち運び可能なストレージ製品はセキュリティ上のリスクだと警告するアナリストもいるが、RatibはiPodを利用することでセキュリティ上のリスクが増えるとは思わないと述べた。
「問題はデバイス自体ではなく、その使い方だ。iPodに他の情報機器にはないようなリスクがあるとは思わない。われわれはデータを匿名化するよう強く勧めている」(Ratib)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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