サンフランシスコ発--次期PlayStationの心臓部に搭載されるチップは、9つのプロセッサコアを持ち、4GHz以上で動作することが明らかになった。
ソニー、IBM、東芝のエンジニアは米国時間7日、International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)で行った記者会見のなかで、Cellプロセッサの仕様を明らかにした。Cellの設計に関する技術論文は今週ISSCCで発表されることになっている。
ソニー、IBM、東芝の3社は、数年前からCellの開発に取り組んできており、マルチメディアアプリケーション用に最適化された高性能なチップを実現すると約束してきた。Cellチップのテスト生産は今年中に開始される予定で、また同プロセッサはその後アニメーション制作など各種のグラフィック処理用に最適化されたワークステーションに搭載されることになっている。さらに、同チップはPlayStationの次期バージョンにも採用されるが、ソニーはこの新型ゲーム機を今年の終わりかまたは来年はじめに発売すると見られている。
画びょうと並べるとCellプロセッサの大きさが分かる |
アナリストや研究者らは、Cellチップの設計に関する基本部分の大半をすでに解明している。だが、7日の発表で初めて明らかにされた点もいくつかある。
IBMフェローのJim Kahleによると、Cellには、IBMの64ビットPowerプロセッサが1基と、別々の計算処理が可能な「相乗演算処理装置」が8基搭載されるという。このうち、同チップの頭脳の役割を果たすのがPowerプロセッサで、アプリケーションを走らせるためのメインOSを動かしたり、他のプロセッサにさまざまな処理を分配したりする。
複数のコアを搭載するこの設計により、ソフトウェア開発者は非常に高い柔軟性を手にすることになり、複数のOSを同一チップ上で動かすことや、グリッドコンピューティングのさまざまなバリエーションを実験することが可能になると、Kahleは述べている。
「Cellは当初から、すべてのコンピュータが接続された状況での運用を想定して設計されている」(Kahle)
Kahleによると、Cellチップの将来登場するバージョンでは、デバイスやソフトウェアの設計者の要望に応じて演算処理装置の数を増やしたり減らしたりできるようになるという。
これらの演算処理装置をどう利用するかは、まもなくPlayStation 3用のソフト開発に着手するゲームメーカーなど、各ソフトウェア開発者に手に委ねられる。Cellの開発を進める3社では、ゲームメーカーや他のプログラマーに対して、同チップに対応するソフトウェア開発用にオープンソースのツール類やガイドラインを提供することになるが、各演算処理装置間での計算処理の分配方法はゲーム開発者が最終的な判断を下すことになる、とKahleは話している。
「実際のところ、最終判断はゲーム開発者次第だ。Cellはさまざまなやり方でプログラムできる」(Kahle)
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