ただし、電力消費量が100ワットのチップをノートPCに搭載できないというわけでもない。たとえば、DellのInspiron XPSは、デスクトップPC用に設計されたIntelの3.4GHz Pentium 4 Extreme Editionプロセッサを搭載している。Intelの熱設計ガイドラインでは、同チップを搭載するコンピュータに対し、110ワット近辺で動作するチップに対応した放熱能力を要求している。
しかし、15.4インチのワイド画面を搭載したDellのこのマシンは、高さが5cmと比較的厚めで、重量もCDドライブとバッテリ装着時で4kg強ある。これに対し、Appleの17インチPowerBookは、高さ約2.6cmで、重量はCDドライブとバッテリを装着しても約3.13kgしかない(Appleの12インチPowerBookの場合、高さは3.0cmで重量は約2.09kg、また15インチモデルは高さ2.8cmで重量は約2.54kg)。ちなみに、Pentium Mと17インチ画面を搭載するDellのInspiron 9200は高さが4.06cmで重量は3.49kgとなっている。
したがって、Appleが典型的なサイズのPowerBookのきょう体にG5を収めるには、G5の速度を落として現行のモバイルG4チップより低クロックで動作せるか(それでもG4の方が消費電力が低い)、ノートPCを大型化して高性能(かつ音の大きい)冷却ファンを装備するしかない、とMicroprocessor ReportのKrewellは述べている。
Appleの最新技術を望む顧客にとって、長く待たされることは苦痛かもしれないが、同社はあくまでも低消費電力版G5チップの登場を待つ可能性が高い。今年中に登場する可能性もあるこの低消費電力チップなら、消費電力も発熱も低く抑えられるものと思われ、典型的なPowerBookの薄型シャシーに収められるようになる。
AppleMattersというブログを運営し、iPodに関する書籍を発行した経験もあるHadley Sternは、美しさは重要な要素だと言う。
同氏は、さらに強力なPowerBookには興味を引かれるが、「G5 PowerBookが現行のきょう体よりかなり大きくなってしまったら購入を控えると思う。私は12インチPowerBookを、主に文書の作成と電子メールのチェックやウェブサーフィンに使っている。私はG4プロセッサで十分作業できるし、デザイン作業をするときは(デュアルプロセッサ搭載の)PowerMac G5を使う」と述べている。
Chris Hollandというもう1人の有名なMacブロガーは、G5 PowerBookの登場を熱望しているのはG4の購入を控えているMacファンたちだと語る。
「MacコミュニティはG5搭載PowerBookをかなり熱望しているようだが、G3システムからの買い換えを狙う人が多いことを考えれば、これは優れたコストパフォーマンスを求めるごくふつうの慎重な態度だと合理的に説明できる」(Holland)
PowerBookにG5を採用する際は、IBMが導入している新しいチップ製造技術が救世主になるかもしれない。Krewellによると、同社のチップ事業部は今年中に低消費電力版のPowerPC 970を発売する見通しだという。
同チップの製造工程の1つでは、ストレインドシリコンという製造技術に新たな工夫が加えられている。この製造技術は、チップ上の超小型オン/オフスイッチであるトランジスタを高速化してパフォーマンスを向上させるというもので、この工夫によりチップのパフォーマンスが向上し、同時に消費電力も減少する。
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