さらに、Microsoftには長期的なメリットもある。Elixirのような技術を導入すると、企業はOfficeのライバル製品を検討さえしなくなる可能性が高い。また、OfficeはLinuxでは動作しないため、Linux採用の可能性がある企業や政府機関でWindows導入を拡大させることにもつながる。
GartnerアナリストのMichael Silverは、「Office技術と各企業の業務の統合が進めば進むほど、Officeは単なる商品ではなくなり、企業がこれをOpenOffice.orgなどに入れ替えることは難しくなる」と述べている。
同社は、Elixirを昨年末までには顧客に幅広く提供したいと考えていたが、自社の業務ソフトとOutlookの連係を考える各社に合わせる作業がかなり残っていることが判明した。
「基本的に約30社のパートナーが集まったが、『待って欲しい。まだ調整できていない』という話になってしまった。内部の細かい部品を集め、だれでも使えるソリューションとしてパッケージングする必要がある。まだ完成していないが、今年中にはできる」(Fitzgerald)
Officeの領域拡大を目論むMicrosoftは、Elixir以外の技術についても準備を進めている。同ソフトの次期主力バージョンで、今年中あるいは2006前半登場予定のOffice 12では、Officeと直接連動するサーバソフトウェアが一段と重視されると見られている。
これは、Officeをプラットフォームとして位置づけようとする、Microsoftの包括的な取り組みの一環だ。同社では、Officeを個々のプログラムを単に集めただけのものではなく、これを基盤とした開発を可能にするプラットフォームにしたいと考えている。同社は来月開催するOfficeデベロッパーカンファレンスで、こうしたさまざまなアプローチを大々的に発表する。このカンファレンスは、個々のプログラムに対応するアドオンの開発ではなく、Officeシステム全体に重点を置いた初めてのイベントになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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