Microsoftは来年、「Microsoft Office System」に的を絞った初めての開発者向けカンファレンスを開催する計画だが、これはOfficeをカスタムビジネスアプリケーションの基盤にしようとする同社の戦略を強調する動きといえる。
同カンファレンスは、Microsoftが本社を構えるワシントン州レッドモンドで2月2日〜4日まで開かれ、同社会長のBill Gatesも基調講演を行う予定。同社は米国時間20日、このカンファレンスには独立系ソフトウェアベンダ(ISV)やコンサルティングパートナー、顧客企業から開発者800名が参加する見込みだと述べた。
MicrosoftがOffice Systemに的を絞ったカンファレンスを企画する背景には、フロントエンドでWordやExcelなどの人気アプリケーションを利用するアドオン製品やカスタマイズアプリケーションの開発を促進したいという同社の狙いがある。Office Systemは、Microsoftのいう「インフォメーションワーカー」の生産性向上を目指して設計された製品群をパッケージ化したもの。
Office Systemを利用することで、例えばコンサルティング企業は医療業界向けの管理業務アプリケーションを開発することができる。Microsoft自身もOfficeとCRM(顧客関係管理)アプリケーションの連携を強化している。
同社の推定によると、Office Systemをベースにしたアプリケーションの市場規模は合わせて1000億ドルに上るという。
またMicrosoftでは、Office SystemでXMLやWebサービスをサポートし始めている。これにより、企業ネットワークの中に保管されたデータをOfficeドキュメントに出力するようなアプリケーションを作成することが可能になる。
MicrosoftのAdam LeVasseur(Information Worker Product Management Groupグループプロダクトマネージャー)は声明のなかで「これは、Microsoft Office Systemに間とを絞った初めての開発者カンファレンスになる。これは、Microsoft Officeという製品が、Microsoft Office Systemユーザー向けに付加価値の高いソリューションを開発するためのプラットフォームへと変遷を遂げたことを意味する」と述べている。
Microsoftでは、Office Systemの次期バージョン「Office 12」で、デスクトップやサーバのソフトウェアコンポーネント間で連携できる他の分野を模索していくとしている。
Office Systemのもう1つの大きな変更点としては、約2年前からVisual Studio ToolsがOffice Systemに導入されるようになった点が挙げられる。これは、Visual Studioの開発環境に精通したプログラマがOffice用アプリケーションを簡単に開発できるように追加されたものだ。従来は、大規模なアプリケーションに向かず、保守管理のしづらいスクリプトやマクロが記述されることが多かった。
Microsoftによると、Officeのトレーニングを受けたパートナーは現在7万人おり、Office System 2003をベースにしたカスタムアプリケーションは昨年以来約400種類が作られているという。
一方、MicrosoftのライバルにあたるIBMも、クライアントソフトウェアにおける取り組みを通してパートナー探しを進めている。同社は、ウェブポータルのようなアプローチを通して、ドキュメントやデータをフロントエンドアプリケーションに表示する「Workplace」というソフトウェアを開発している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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