Officeの新バージョンへアップグレードするよう企業顧客を説得することはMicrosoftにとって長年の課題だが、同社は新たに開発中のElixirがこの目的に役立つと期待している。
「Project Elixir」というコード名のこの取り組みは、Microsoftの電子メールプログラムOutlookにいくつかの情報参照欄を加えた上で、これを顧客データ閲覧用ツールとして打ち出すためのもので、今年中に具体化することになっている。Siebel SystemsやOracle、SAPの各社が支配するCRM市場への食い込みをねらうMicrosoftにとって、いずれはこの計画が役に立つことになるかもしれない。
Microsoftは昨年社内でこの取り組みを開始し、営業部隊がOutlookを使ってSiebel製CRMソフトウェアにつながったデータウェアハウスにアクセスできるようにした。
Microsoftは現在、この社内プロジェクトを他社も利用できるソフトウェアツールに仕立てようとしているところだ。同社ではOutlookをSiebel製品と接続できるようにしたが、他社から出ているさまざまなCRMソフトウェアと連携させることも可能だ。Microsoftのプラットフォーム戦略担当ゼネラルマネジャーCharles FitzgeraldはCNET News.comに対し、顧客もこれに高い関心を寄せている、と語った。
MicrosoftはElixirが収益源になるとは期待していないが、Officeが各社のビジネスプロセスといっそう密接に連携するようになれば、同社はその恩恵を享受することになるだろう。Microsoftが開発したElixirはOffice 2003としか連動しないため、同社は顧客にアップグレードしてもらうための手段としてこのツールを捉えている。長期的には、このツールがWindows Serverなどの各種ソフトウェアの売上拡大につながるかもしれない。
Fitzgeraldは、「ElixirはOutlook 2003に対応しているので、その売上と導入の両方の増加につながる」とし、先日Elixirのデモを目にして、それまでOffice 2003へのアップグレードに乗り気でなかったCIOがこれを承認した例もあると指摘した。
最新版のOfficeにアップグレードさせることは、結果として得られる売上の面からも、顧客満足度の面からも重要だ。同社の製品はバージョンが新しいほど着実に顧客の満足度が上がる、とMicrosoftは指摘している。
MicrosoftでOfficeを扱うInformation Worker部門の売上は、昨年全体のおよそ30%を占めていたことから、同社にとってOfficeの新規販売やアップグレードの増加は至上命題といえる。同社は、Elixirのようなアドオンを提供し、Officeに焦点を絞った初めてのデベロッパーカンファレンスを来月開催し、さらにOfficeと連携するサーバソフトウェアの開発に注力することで、Officeへの関心を高めようとしている。
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