IBMが、Lenovo GroupにPC事業を売却するうえでのハードルを克服した。そのハードルとは、米国の規制当局である。
連邦取引委員会(FTC)は米国時間7日、IBMが昨年12月に発表したLenovoへのPC事業売却計画について検討した結果、これを承認することを決定したと発表した。米国では「Hart-Scott-Rodino Antitrust Improvements Act」によって、大規模な合併を行う企業は事前にFTCと司法省に届け出ることが義務付けられており、企業は自社の計画が競合他社に与える影響に関して情報を提出しなければならない。今回の審査は同法に基づいて行われたもので、FTCの認可が下されたことにより、IBMとLenovoの待機期間は終了する。
今回の事業買収は、2002年5月のHewlett-Packard(HP)によるCompaq Computer買収以来の大型案件だ。Lenovoは今後、IBMがもっていた米国や欧州、アジア各国のリソースと、中国市場における自社の地位を利用しながら事業を展開していく方針だ。同社は、Dell、HPに次ぐ世界第3位のPCメーカーとなる。
買収完了後は、LenovoがIBMのPC事業運営を引き継ぐ予定。IBMが規制当局に提出した資料によると、IBMのPC事業が過去数年間にわたって計上した損失額は10億ドルにものぼるという。買収は第2四半期に完了する予定。Lenovoは製品の製造と設計に関する責任を負うほか、「ThinkPad」をはじめとするIBMのPCブランド名を5年間利用できることになる。
Lenovoは、ニューヨーク州アーモンクに本社を構える新会社を設立する予定。IBMは新生Lenovoの株式の18.9%を保有する。IBMは今回の事業売却により、サービスやソフトウェアなど、収益性の高い事業に専念できるようになる。Lenovoへの資本参加以外にも、IBMは自社の営業部隊をLenovoのPC販売にあてたり、顧客サポートを提供するなど、今後さまざまな方法で同社を支援する。
Lenovoは今後も中国でのビジネスに重点的に取り組む方針だが、他の市場への拡大も計画している。例えば、同社はLenovoブランドのPCを米国市場で販売することなどを検討中だ。
それでも買収完了までの間、IBMの既存の企業顧客を安心させるという点においては、Lenovoは引き続き難しい課題を抱えることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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