PC事業の売却が決まったIBMでは、現在顧客に対して懸命のつなぎとめ工作が続けられている。
それでも、DellやHewlett-Packard(HP)などの競合各社が、神経質になったIBM顧客を奪おうとする可能性が高く、さらにそれが大口契約を狙った激しい争奪戦につながる可能性もある。Dell会長のMichael Dellは米国時間7日、ここ数年のPC市場における合併の大半は失敗に終わったという見解を示したが、そういう同社は価格を武器にしてIBM-Lenovoから顧客を奪う可能性がある。HPもしかりだ。
しかし、Lenovoも薄利多売で利益をあげる方法を理解しており、同社も同じやり方で反撃に出る可能性が高い。
「Lenovoに経営が移れば、ThinkPadがもっと競争力のある価格設定で販売される可能性もある」とGartnerアナリストのLeslie Fieringは指摘。「IBMの顧客にとって、これは非常に魅力的な選択肢だ」(Fiering)
Lenovo GroupへのPC事業売却計画を7日に発表したIBMは、既存顧客に対してほとんど変化はないはずだと説明している。同社は、PCの製造をLenovoに任せる一方で、販売や融資、保守については引き続き同社が行っていくとの内容の契約をまとめた。またLenovoは5年間にわたりIBMブランドでPCを販売することさえできる。
「IBMは顧客サポートの素晴らしさで高い評価を確立した会社だが、今後もその点は変わらない」と、同社はウェブサイトに掲載した声明のなかで述べている。「IBM ThinkPadおよびIBM ThinkCentreという両ブランドの製品ラインは存続する。そして、IBMが誇る世界でもトップレベルのサービス/サポート部門が今後もサービスを担当し、新技術の導入やヘルプデスクのサービスも提供する。ビジネスパートナーがIBM PC事業部に代わって提供する補償サービスもこれまで通り継続される」と述べている。
これまでに少なくとも数社の顧客が、IBMの戦略はうまく機能しており、同社との取引を今後も継続していく意向を表明している。
「IBMのPCが社外生産になってもとくに問題はない」と、NetScaler(本社:カリフォルニア州サンノゼ)の技術開発ディレクターShawn Nunleyは述べ、「われわれは品質管理、仕様、機能に基づいて判断することが多い。そのため、同じ製品であれば、どこで製造されたものであろうと大きな違いはないだろう」と語った。
それでも、IBMがLenovoにPC事業を移管するにあたっては、ある程度の問題や混乱は避けられない。Lenovo株の18.9%を保有することになるIBMにとっては、さまざまな問題への対応の仕方が今後を占う手がかりとなる、というアナリストもいる。IBMとLenovoはまた、顧客を満足させるべく、PCの価格設定について多少検討する必要があるかもしれない。
IBMの大口顧客である大手メーカーのIT幹部は匿名を条件に、「買収による影響が出るとすれば、良い影響になることを期待している」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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