Intelの最高経営責任者(CEO)Craig Barrettは米国時間7日、ラスベガスのConsumer ElectronicsShow(CES)で行われた記者会見の席上で、現在ますます多くの無線技術が実現しつつあるが、家電機器をこれらのネットワークに接続する必要があり、そのためにはチップメーカー各社がソフトウェア経由で設定を随時変更できるようなプロセッサを開発しなければならなくなるだろうと語った。
「1台に9つの異なる無線用チップを搭載するようなことにはならない」(Barrett)
Intelは、過去数年間「Radio Free Intel」という取り組みを通して、ソフトウェアで設定を変更可能な無線用チップの開発を続けてきている。
Barrettの予想によると、さまざまな機器で利用できる無線技術の数はすぐに増加し始めるという。たとえば、ノートPCは1〜2年以内にWiMax経由でインターネットに接続できるようになる。長距離データ通信が可能なWiMax技術に対応するチップを搭載した場合、ノートPCは製造コストが100〜200ドル増加することになるが、しかし電波の到達範囲は数キロメートルにまで広がる。また、UltraWideBandは動画のような大容量ファイルを送信するのに使われる短距離無線技術だが、これに対応するチップもさまざまな機器に組み込まれるようになると、同氏は述べた。
Intelは昨年のCESで発表したリアプロジェクションテレビ用のチップ開発を、その後断念する結果に終わっているが、そうした挫折を経験しているにも関わらず、同社は今後も家電市場全体を視野に入れて技術開発を進めていくと、Barrettは付け加えた。同社はx86アーキテクチャをベースにしたさまざまな家電用チップを開発するほか、引き続き携帯電話市場も狙っていくという。
Barretによると、家電市場は大まかにいって3つの製品を中心に展開していくことになるという。その3つとは、テレビ、PC、携帯端末だ。現在約20社ほどのPCメーカーが、エンターテインメント指向のPCを発表・販売しているが、Intelではビデオレコーダのような形をしたこれらのPCが今後リビングルームに定着し、テレビやステレオなどの製品をコントロールすることになると期待している。
Barrettは、Blu-ray Disc対HD DVDのような家電業界での標準争いについて、現在問題となっているこれらの問題の多くはいずれ解決に向かうと述べた。同氏は次世代光学ディスクフォーマットをめぐる争いに言及しながら、「2つの大きく異なる標準がそのまま残るとは考えにくい」とした。
デジタル著作権管理技術をめぐる映画業界対IT業界の論争に関しては、「多少の摩擦はあるかもしれないが、それほど多くの衝突は起こらないだろう」と同氏は語った。
今年5月にCEOの座を退き会長職に就く予定のBarrettは、引退という考えについて深刻に受け止めていることも示唆した。同氏には、ビジネスマンとしての経歴をまとめた自叙伝を書く計画はないという。「30年ほど前に教科書を1冊書いたことがあるが、あれはとても辛い経験だった」(同氏)
Barretが今年のCESで行った講演には、目新しい話題はあまり含まれていなかった。ただし、この講演にはたくさんの人が登場し、そのなかには有名人も多く含まれていた。俳優のRobert Redford、AerosmithのボーカリストSteve Tyler、自転車にまたがった男、eBay CEOのMeg Whitman、PCで中国語の文字を描く8歳の少女、UMixItソフトウェアの開発者であるMarissaとJamesのDeVito夫妻、ゲームメーカーUbisoftの幹部、多くのインテル社員、ラスベガス風のエスニックな衣装を身にまとったダンサーの一群など、さまざまな人間が同氏とステージをともにした。Barrett自身も黒のスーツに黒いカウボーイハットといういでたちで登場したが、その姿にはどこかカントリー歌手Garth BrooksのFortune 500バージョンといった風情があった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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