欧州の裁判所が現地時間22日、Microsoftに対してメディアプレイヤーソフトを搭載しないWindowsの提供を開始するよう命じ、同社に打撃を与えた。
欧州第一審裁判所(European Court of First Instance)長官のBo Vesterdorfは、Microsoftは、たとえ上訴申請中であっても、欧州委員会が3月に課した罰則に従わなくてはならないと語った。
欧州委員会は3月、MicrosoftがOS市場における自社の独占的立場を利用し、メディアプレイヤーおよびワークグループサーバOS市場の操作を試みたとの裁定を下し、同社に対して、メディアプレイヤーを搭載しないWindowsを提供するとともに、技術の詳細をもっと競合各社に公開するよう命じていた。そして今回、これらの命令が施行されることになる。
同裁判所は声明のなかで、「Microsoftは、欧州委員会が課した改善策を実施した場合、深刻かつ回復不能な損害が発生すると主張しているが、同社が提示した証拠はこれを証明するには不十分」と述べている。
しかし同社には、22日の判決を欧州裁判所(European Court of Justice)長官に上訴する権利がある。ただし、上訴の申請は今後2カ月以内に提出しなくてはならない。
Microsoft法律顧問のBrad Smithは22日に行った電話会議のなかで、MicrosoftはEUの裁定に対する上訴の是非をまだ判断していないと語った。
「上訴するかどうかは分からない。2カ月はかからないと思うが、十分な時間をかけて判断すべきことだと思っている」(Smith)
Smithは報道陣に対し、今回の裁判の争点を巡っては勝訴のチャンスがまだある、との楽観的見方を変えていないことを伝えた。
「それでも裁判所は、われわれが重要かつ熟考すべき意見を多数持っていることを認識している。これらの意見が最終的には勝訴を勝ち取る可能性もある」と同氏は語り、さらに「勝訴が保証されているなどと示唆しているわけではないが、今後の訴訟の流れを見た場合、明確に楽観視できる要因があるということだ」と付け加えた。
たとえば、「欧州委員会は(これらの組み合わせが持つ)プラスの影響をもっと重視すべきだ、とのMicrosoftの主張を巡って重要な論点があることを裁判所は認識している」と同氏は説明した。
Smithは、MicrosoftがEU裁定への対応を即座に開始することはない、と語った。Microsoftでは、同社の競合各社が裁定で指定された各種通信プロトコルのライセンス供与を受けられるようにすべく、22日午後にもウェブサイトを開設する計画だ。
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