欧州委員会は、Microsoftに対する制裁のなかで、同社にメディアプレイヤー非搭載のWindowsを出荷するよう求めていた件で、今週発効する予定だったこの命令を一時的に差し止めた。
Microsoftは米国時間27日、欧州委員会からこの決定を知らされたと述べた。この命令差し止めは事実上、ルクセンブルクにある裁判所に時間を与えるもので、同裁判所は急いで判断を行うよう求める圧力を感じずに、同訴訟を検討できるようになった。
この発表は、Microsoftが第一審裁判所に対して、メディアプレイヤー関連の要求の緊急延期を請求した直後に行われた。Microsoftの広報担当Jim Deslerは同日、係争中のメディアプレイヤー関連の一時差し止めは「欧州委員会もしくは裁判所によって予想されていた」と話している。
Microsoftは、欧州委員会が求める6億400万ドルの制裁金と、メディアプレイヤー関連の要求の破棄を裁判所に求めるのに先立ち、100ページに及ぶ上訴申請書を提出している。Deslerは、米国時間25日に提出されたこの緊急延期申請の内容については機密だとしている。
「EUの是正措置は、Microsoftだけでなく、Windowsプラットフォームの製品を開発しているほかのソフトウェア開発企業やウェブサイト開発者にも悪影響を及ぼす。また、何よりも重要なのは、これらの是正措置で消費者への選択肢が制限され、パーソナルコンピュータのユーザビリティを低下させて、彼らに損害を与える点だ」と、Microsoftは声明の中で述べている。
欧州の司法制度で上から二番目に位置する第一審裁判所では、Microsoftの請求について今後2カ月以内に聴聞会を開く予定だ。
もしこの命令が差し止めにならなければ、欧州委員会が定めた要求の一部は猶予期間を過ぎ、その効力を発揮してしまっていた。欧州委員会は3月24日に下した裁定のなかで、Microsoftに対して90日以内にメディアプレイヤー未搭載のWindowsを提供し、また120日以内に自社サーバソフトウェアに関するプロプライエタリな情報をライバル各社に公開するよう求めていた。
米司法省はこれまで、欧州によるMicrosoftの取り締まりを批判してきた。同省では、 独自の調査によって「Microsoftの商慣習に大きな変化が見られる」ことがわかっており、またWindows Media Playerの排除は正当化できず、悪影響を及ぼすものだとしてきた。さらに、民主・共和両党の著名な政治家らは、1991年の反トラスト協力協定違反だとし、欧州の裁定を厳しく非難していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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