映画やテレビ番組など、無料でダウンロード可能なコンテンツのリストを公開していたBitTorrentの「ハブ」が今週末、突然閲覧不能となった。これは、世界で最も利用者の多いPtoPネットワークの背後にある技術の脆弱性を浮き彫りにした映画業界の大きな勝利を意味する。
米国映画協会(MPAA)は先週、全世界のBitTorrentネットワークインフラの運営者をターゲットにした一連の法的措置を開始した。現在同ネットワークは、映画や、その他の著作権で保護された作品を無許可で配布する目的で利用されている。
MPAAの一連の法的措置は、BitTorrentコミュニティのハブの役割を果たしてきた大規模なウェブサイトの一部に圧力をかけることに成功したようだ。これらのサイトのなかには、数カ月前に立ち上げられたものもあれば、数年間に渡り運営されてきたものもある。これらのサイトの多くは、ほぼ一夜のうちに閉鎖された。ある学問的研究によると、その中の1つであるSuprNova.orgは、同コミュニティの中でも圧倒的人気を誇ったサイトで、1日に100万人以上が利用していたという。
これら大規模サイトの閉鎖によって、BitTorrentネットワーク上で行われていたファイル交換が完全になくなるとは考えにくいが、法的報復を恐れることなく、公然とPtoPネットワークを運営できる時代が終焉したことは間違いない。その結果、ファイル交換がアンダーグラウンドにシフトすると、ファイル交換者らはプライベートネットワークや、今までより小規模なコミュニティに移動するため、ファイルの発見がより困難になるだろう、とファイル交換の事情に詳しいある人物は指摘する。
先週末、SuprNovaには次のようなメッセージが掲載された。「SuprNovaの再開のめどは立っていませんが、今後(コンテンツへの)リンクを大量に掲載することはありません・・・今回閉鎖に至ったことは大変遺憾に思います。われわれは万事を尽くしましたが、(閉鎖以外に)方法がありませんでした。」
この法的措置がもたらした結果は、MPAAとその協力者らにとって大きな勝利を意味する。これまでMPAAは、SuprNovaなどのPtoPサイトがファイル交換インデックスを公然と開設するのをただ傍観してきた。これらのインデックスは、ワンクリックでダウンロード可能なテレビ番組、映画、ゲーム、音楽などのコンテンツを探している数百万人の人々にとって、必要不可欠な目的地と言わないまでも、便利な場所となっていた。
ネットワーク監視会社のCacheLogicによると、BitTorrentは過去2年間で、ネット上で最も人気の高いファイル交換ツールに成長し、2003年夏の時点でISPネットワーク上のPtoPトラフィックの大半を占めていたという。BitTorrentは元々、大容量ファイルを効率よく配布できるように設計されていたため、BitTorrentネットワーク上では、高画質のノーカット版映画やソフトウェアの交換がトラフィックのかなりの部分を占めていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」