米最高裁は10日(米国時間)、ファイル共有サービス企業が運営するネットワーク上で行われた著作権侵害について、サービス企業側に法的責任を問えるか否かという論議を呼んでいる問題について審理を行うと発表した。
この問題の下級審で敗訴し続けてきた大手レコード会社やハリウッドの映画製作会社にとって、今回の最高裁の決定は朗報といえる。レコード会社らは、Morpheusの親会社であるStreamCast NetworksやGroksterなどのピア・ツー・ピア(PtoP)サービス企業のソフトを使って著作権で保護された作品が交換された場合、これらのPtoP企業に法的責任を問いたいと考えている。
「今、裁判で争われているのは将来的に重要な問題、すなわち創造的産業および合法的なインターネット商取引の将来についての問題だ」と米レコード協会(RIAA)の最高経営責任者(CEO)Mitch Bainwolは述べた。同氏はさらに「これらは特定の技術についての問題ではなく、ビジネスモデルの実践者らによるその技術の濫用の問題だ」と語った。
今回の最高裁の決定により、将来、ファイル交換とは全く無関係のハイテク企業にも重大な判決が下される可能性がある。この問題では、VCRがテレビ番組や映画をコピーする機能を備えているにも関わらず合法とされた20年前の判決の解釈が最大の争点となっている。結局、同判決はCDバーナーからApple ComputerのiPodに至るまで、数多くの技術の開発への道を切り開く一助となった。
ソニー・ベータマックス判決という名で知られるこの判決により、著作権で保護された作品の違法コピーに利用できる技術を提供するメーカーは、その技術に「実質的に著作権侵害に当たらない利用法」が存在する限り、その技術を使ってなされた侵害行為について法的責任を問われないとする大まかな方向性が示された。
同判決は過去数年間、コンピュータ/家電メーカーの発展に多大な影響を与えてきた。特に、音楽や映画が簡単にデジタルフォーマットに変換できるようになったことが大きかった。1999年には、MP3プレイヤーは合法的に購入された音楽も再生可能であり、従って合法であるとの判決が下された。この判決がなければ、AppleをはじめとするMP3プレイヤーメーカーの最近の大躍進はあり得なかった。
Jones Day法律事務所に所属するJim Brelsford弁護士は、「当時、この判決にどれほど重大な影響があるか、誰にも予測がつかなかっただろう」と述べ、「その後、同判決に基づき、あまりに多くの技術が開発された」と付け加えた。
シリコンバレーに拠点を置く一部のハイテク企業は、ファイル交換の規制を目的とした最高裁判決が下されれば、将来の製品開発に予期せぬ影響が及ぶ可能性があると憂慮している。
「(最高裁判決は)著作権業界への影響よりも、ハイテク業界への影響の方がはるかに大きい」と語るのは、電子フロンティア財団(EFF)の顧問弁護士であるFred von Lohmannだ。Lohmannはこの問題で、StreamCast Networksの代理人を務めた。同氏はさらに次のように続けた。「この裁判は、世界のPtoP業界の将来を決するものではなく、将来のデジタル製品全体の将来を決するものだ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス