かねてからの予測通り、映画業界が著作権侵害の疑いのあるインターネットユーザーらを相手取り、訴訟を起こそうとしている。音楽業界では既に同様の訴訟戦略をとっているものの、十分な効果は表れていない。
映画ファイルの交換者を相手取った一連の民事訴訟は、米国時間16日に起こされる予定だ。映画業界は、今の音楽のように、映画がインターネットを介して多くの人々に共有されてしまうことを恐れ、法的対策を段階的に強化している。
米国映画協会(MPAA)のプレジデントDan Glickmanは、米国時間4日にカリフォルニア州ロサンゼルスで行われた記者会見の後に声明を発表し、「映画の違法取引は、110年の歴史を持つ映画産業の経済基盤を揺るがす最大の脅威だ」と述べた。
Glickmanは、その後の電話インタビューのなかで、最初の訴訟で対象となるファイル交換ネットワークを明かすことはできない、と語った。MPAAの配布資料には、「メンバー企業が作成した映画のデジタルコピーが違法交換されているネットワーク」の例として、Kazaa、eDonkey、Gnutellaの名前が記載されていた。
Glickmanはまた、映画をダウンロードする人も訴訟の対象になるのか、それとも映画を共有フォルダで公開する人だけが対象になるのか、についても明らかにしなかった。「こうした素材の違法取引を行う個人を念頭に置いている。それ以上の詳細は明らかにできない」(Glickman)
MPAAは現在までのところ、大学に圧力をかけてPtoPネットワークによる著作権侵害を抑制したり、連邦議会に新しい法案を作るよう働きかけたり、PtoPネットワークの運営者に対して民事訴訟を起こしたり、一般の人々にRespectCopyrights.orgウェブサイトに訪問するよう呼びかけたりするなどの取り組みを展開している。
だが、MPAAが最初に展開した訴訟戦略は、8月に失敗している。個人ユーザーが犯した著作権侵害行為について、GroksterやStreamCast NetworksなどのPtoPネットワーク事業者に法的責任を問うことは出来ないとの判決を連邦控訴裁判所が下した。MPAAが個人ユーザーを相手に訴訟を起こす背景には、過去のこのような裁定や、ブロードバンド回線の急速な普及がある。
カリフォルニア州知事のArnold Schwarzenegger(共和党)は、映画会社によるこれらの訴訟戦略を称賛した。
「カリフォルニアでは50万人以上の人々が娯楽産業に従事しており、この業界が州経済に毎年300億ドル以上貢献している。映画の著作権侵害を認め続ければ、業界が破綻し、カリフォルニア経済に深刻な打撃を与える」(Schwarzenegger)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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