Symantecの最高経営責任者(CEO)John Thompsonが企業買収を試みたのは、今回が初めてではない。実際に、同氏がトップに就任して以来、Symantecは多数のセキュリティベンダーを買収し、また自社の核となる市場以外にも新たな買収先を求めてきた。
しかし、135億ドルを投じたVeritas Softwareの買収は、同氏にとってこれまでで最も大きな賭けである。この買収により、データの保存や保護そして回復まで、幅広い品揃えを誇るソフトウェア企業が誕生する。そうしてまた、今回の買収はエンタープライズソフトウェア業界で整理統合の気運が高まっていることを浮き彫りにするものでもある。
合併後の新会社は、早ければ来年にも売上が約50億ドルに達すると見られており、同社はMicrosoftやOracle、SAPなどの巨大ソフトウェア企業と肩を並べることになる。
CNET News.comのRobert LemosはThompsonにインタビューを行い、今回の合併とSymantecの今後に対する同氏の考えを聞いた。
--シマンテックによるベリタスの買収は、ソフトウェア業界はじまって以来の大規模な合併となります。どのように対応していくおつもりですか。
新会社は、金額面で見ると(これまで合併で誕生したなかで)最大規模のソフトウェアベンダーとなります。小さな会社が別の小さな会社を買った、というのとは訳が違います。それぞれの分野で首位に立つ2つの企業が合流するわけですから。
重要なのは、新会社は単に規模が大きいだけでなく、30億ドル以上の売上をもつ企業のなかで、どこよりも早いペースで成長を遂げる会社である、という点です。
--競合各社は、今回の買収によってSymantecの勢いが弱まるかもしれないと考えています。統合は短期間で完了できますか。
どんな買収でもそう簡単にはいきません。ただし、今回の買収で興味深いのは、製品ラインにあまり変化がないことです。両社の製品ラインに重複する部分がないのです。ですから、2つの異なる分野で売上を伸ばしていくことになります。
われわれは、PowerQuestの買収でストレージ管理市場へ参入しました。そして、今回の買収でエンタープライズ市場への参入も可能になったのです。
--Microsoftがますます激しい競争を仕掛けてきていますが、それが合併の決断につながったのでしょうか。
いいえ、Microsoftへの対抗が目的ではありません。Microsoftの影響力が非常に強いソフトウェア業界のようなところでは、常に提携したり、あるいは競合したりする余地が生まれています。
われわれがMicrosoftと協力することも、もちろんあり得ます。
--Symantecは、Veritasと競合するEMCと提携していますが、これについてはどうなるのでしょうか。
EMCとの間に関係と呼べるようなものがあるかどうかは分かりません。ただし、何度か話し合いを行ったことはあります。VeritasがEMCと競合しているのは、アレイ以外のストレージネットワーク向け管理製品の分野です。
EMCの経営陣とは、顧客の問題解決に向けた商機について、ぜひじっくり話し合いたいものです。彼らはシステムの統合を進めるため、提携ベンダーを1社に絞りたいのではないでしょうか。
--セキュリティに特化した企業では、市場で競争することが難しいと思いますか。
われわれは今後もセキュリティベンダーであり続けます。しかし、顧客の問題解決という点を考えると、セキュリティプロバイダーにとどまっていることはできないと思います。また、われわれがセキュリティ以外の分野へ進出するのも今回が初めてではありません。PowerQuestやON(Technology)の買収例もあります。
--今回の買収によって、Symantecは個人ユーザーと中小企業向けの製品に特化した会社というイメージを払拭できますか。
わが社の法人営業部門には1500人の営業担当者がいます。中小企業だけが相手では、1四半期で300件の契約をまとめ、数十億ドルの売上をあげることはできません。
--今後、営業部隊の間で顧客がバッティングするといった問題は出ませんか。3000人以上の営業担当者をどのようにまとめていくのでしょうか。
彼らの多くは、顧客に重複があることに気づくでしょう。今後は、そのようなところを1人が担当し、より多くの製品を紹介するとともに、ニーズにあったシステムを1つに絞ってクライアントに提案できるようになります。
大企業は、アカウント担当マネージャを望みます。そのマネージャが営業と顧客とのやりとりをコーディネートするのです。
-- 何らかのコスト削減策は実施しますか。
6000人を解雇するといったことはしません。われわれは人員削減ではなく、ビジネスを拡大する方法を考えていきます。
--Symantecではストレージ製品の社内開発を検討したことはありましたか。
われわれはかなり貪欲な会社です。そして、どうすれば競争するのに必要な規模を実現できるかと考えた時、動きの早いこの市場では、自然な成長だけではうまく行かないことがわかります。顧客は、ますます少数のベンダーから、これまで以上にさまざまな製品を求めるようになっており、しかも彼らは待ってくれないのです。
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