サンフランシスコ発--Oracleの最高経営責任者(CEO)Larry Ellisonは、近頃いろいろな懸案を抱えて大忙しで、自社イベントの基調講演用に新しいネタを考えることを後回しにしてしまったようだ。
無類のヨットレース好きとして知られ、また廃品漁りの趣味でも有名なこのソフトウェア業界の大物は、米国時間8日に同社が年に1度開催するOracle OpenWorldで基調講演に立ち、柄にもなくきまじめな話をした。同氏の話の内容は、ほとんどが昨年のスピーチの焼き直しだった。同氏は会場に集まった数千人のIT業界関係者に対し、「データのフラグメンテーション」の危険性について警告を発し、企業の保有するデータをばらばらなコンピュータ内に分散させておくのではなく、大規模な1つのデータベースに集約するよう促した。
Oracle(本社:カリフォルニア州レッドウッドショア)は世界最大のデータベースソフトメーカーで、IBMやMicrosoft、Sybaseなどのライバル各社と同市場のシェアを争っている。
今回のEllisonの講演は、引用した例まで昨年と一緒だった。その例とはクレジットカード業界に関するもので、同氏は取引を瞬時に追跡できる同業界のシステムを、データ処理能力の高度化を示すお手本としてとり上げた。
Ellisonは現在、ソフトウェア業界のライバルであるPeopleSoftの買収合戦に関わる一方、他の買収先候補の検討も進めており、さらにはプロフットボールのSan Francisco 49ersを買いとろうとして現在のオーナーにひじ鉄を食らってしまい、いまは他のプロチームを物色中と、誠に多忙を極めている。そんな同氏にとっては、話題の新鮮さでポイントを稼ぐといった事柄はあまり重要ではないのかも知れない。
Ellisonの基調講演には、49ersのオーナーを責めたこと以外に目新しい点はなく、同氏は自社が1年以上追いかけ続けてきているPeopleSoftの買収話についてはほとんど新しいことを口にしなかった。またPeopleSoftに触れた際にも、これまでと同様にPeopleSoft製品を利用する1万2000社の顧客を必ず満足させるといっただけだった。
「われわれは、PeopleSoftの顧客に対して、十分すぎるほどのサポートを提供するつもりだ」と同氏は述べたが、これも実は前日に同社社長のSafra Katzが口にしたセリフを、そのまま借用したものだった。
同氏はまた、現在PeopleSoftが開発中の同社プログラムの新バージョンについて、買収後はそれを必ず完成させるとし、またいずれこれらの製品をOracle製品と統合していくと述べた。両社はともに、企業向けの会計、顧客サービス、購買等を支援するソフトウェアを開発しているが、この市場を支配しているのはドイツのSAPだ。
「われわれは、OracleとPeopleSoftが別々では無理だったような多額の資金を製品開発に投じ、SAPと互角に戦ってみせるつもりだ」(Ellison)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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