ACCESSがサムスン電子との包括提携で新成長路線に

 携帯電話向けなどnon-PC向けソフトウェアの開発を手掛けるACCESSの株価が急反発をみせている。11月8日の安値169万円から急騰して先週末26日には251万円の高値をつけ、わずか約2週間で48%もの上昇をみせている。株価上昇の契機となっているのは、ACCESSが21日に、韓国のサムスン電子に携帯端末向けソフトウェア技術を提供することで包括提携すると発表したことだ。この包括提携によって今後のACCESSの業績と株価がどう推移するかを探った。

 ACCESSは、サムスン電子製携帯電話などに、同社が持つブラウザソフトやメールソフト、暗号ソフトなど、モバイル環境に必要なネット関連ソフトを開発、搭載していく。今回の提携により、ソフト開発で05年1月期には5億円、06年1月期には24億円程度の売上高の上積みを見込んでいる。ACCESSは、すでに携帯電話用ブラウザソフトで、NTTドコモのiモードやFOMA対応機種向けではトップの座を占める実績を持っている。

 サムスン電子は、昨年ワールドワイドで5600万台の携帯電話を出荷し、今年は前年比53%増の8600万台出荷を見込む世界第3位の携帯電話メーカーだ。今回のサムスン電子との包括提携では、携帯電話のほぼ全機種に対してブラウザを提供する可能性を秘めていることから、業績の向上に将来的にはかなり大きなインパクトとなりそうだ。今回サムスン電子がACCESSとの包括提携に踏み切ったのは、今後主力製品として投入する高機能携帯電話に対応した高度なブラウザソフトや組み込み技術を求めているためだ。

 会社側では、05年1月期の連結業績について、売上高102億2800万円(前期比16%増)、経常利益20億200万円(同66%増)を見込んでいる。ところが、今回のサムスン電子との包括提携によって上方修正される可能性が高まっている。大和総研では、ACCESSの今後の業績見通しについて「05年1月期の連結経常利益を24億円(前期比約2倍)、06年1月期は同59億円、07年1月期は同100億円と」想定し、投資判断を従来の「2(5段階のうち上から2番目)」から「1(5段階うちの最上位)」に引き上げて、向こう半年から1年を投資期間とする目標株価を332万〜344万円に設定している。

 ただ、冒頭にも記したように最近2週間で株価が約50%もの急上昇をみせているうえに、会社側予想の今期予想の連結1株利益1万1527円で試算した今期のPERは200倍とかなりの割高水準となっていることも確かだ。今回のサムスン電子との包括提携によって将来的に業績が飛躍的に拡大する可能性はあるものの、短期的には株価の割高感が否定できないことから、短期的には株価が乱高下する懸念もありそうだ。したがって、投資する場合は、中・長期スタンスでの対応が必要とされそうだ。

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