クリエイティブコモンズの音楽CDを聴きながら

Eliot Van Buskirk2004年11月24日 14時20分
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 いまから16曲のMP3ファイルを無料で入手する方法をお教えする。だがその前に、これらの曲が用意されていることが、読者の皆さんや、皆さんが聴く曲、そしてインターネット全体にどのような意味を持っているのか知っていただけることを期待してやまない。どれもきわめて重要な問題だからだ。

 連邦裁判所は昨年、実質的な非侵害行為にも利用できるとの理由から、ピア・ツー・ピア(P2P)のファイル共有アプリケーションに合法の判断を下した。そして、今年になって控訴裁判所がその判決を支持した。

 これらの判断が下された論拠は、ベータマックス方式のビデオカセットレコーダを発売したソニーをUniversalが訴えた1984年までさかのぼる。Universalは当時、映画の違法コピーに利用できるビデオデッキは厳しく禁止すべきだと主張した。ソニーはそれに対し、ビデオデッキには正当な利用方法(あとから鑑賞するためのビデオへの保存や、購入した映画のバックアップの作成など)もあるため、問題は一切ないと反論した。ベータマックスは後にVHSとのフォーマット戦争に破れたが、米最高裁はソニー(そして消費者)の主張を支持し、消費者が個人利用目的でメディアを複製する行為は禁じられなかった。

 ファイル共有などに関する判断を控訴裁判所が支持するということは、裁判が結審し、決着が付いたことを意味する。にもかかわらず、レコードレーベル各社は最高裁の判断を仰ごうとしている。判事が異なる見解を示し、むしろP2P企業がユーザーの行為に対する法的責任をとるべきだ、との判断を下すことを期待しているのだ。現状を見ると、法が憎むのは利用者であって技術ではない。レーベル各社の主張が通ることにでもなれば、法が利用者と技術の両方を憎むことになってしまう。ルールに則って技術を利用している利用者もいるのだから、これは適切ではない。

 さらに、これは音楽に限定した話でもない。もし、最高裁が下級裁判所の判断を覆すようなことになれば、インターネット自体が認められなくなってしまう。その理由は、P2Pが違法と見なされればインターネットの大半が違法になってしまうからだ。

 P2Pソフトはアーキテクチャがほかの技術とは異なるが、実際にはデータ転送のために2つのIPアドレスを接続しているだけだ。もしRIAA(全米レコード協会)の思い通りに進めば、2人のユーザー間のデータ接続を支援するすべての企業が、ユーザーの行為に対する責任を問われてしまうことになる。学校や会社のネットワークが特許侵害行為ではない使われ方(ガンの調査など)をしていても、一部が著作権で保護されたファイルの交換にこれを利用していたことが分かれば、高額な罰金(1曲あたり最高で1万ドル)を科せられることになる。

 そうなれば、組織がオープンなインターネット接続を提供することへのインセンティブが失われるまでに、それほど時間はかからない。言い換えると、検閲などの外部統制がしかれ、塀で囲われたインターネット(初期のAOLのようなものだ)をブラウズすることになってしまうのだ。

自分のマシンは自分で制御する

 家の中にあるものすべてがコンピュータのように神経を使うものだったら、大半の人はその利用を拒否するだろう。考えてもみて欲しい。食器洗浄機がクラッシュしたり、テレビのビデオドライバがハングしたら、たちどころに我慢できなくなるだろう。苛立たしくても我慢してコンピュータを使い続けるのは、自分のマシンを完全に制御できているからだ。コンピュータを使うのは、これが自分たちのして欲しいことをほとんど何でもしてくれるからだ。

 レーベル各社がP2Pの非合法化に成功したら、次の標的になるのは何だろう?電子メールか?FTPか?HTTP?あるいはインスタントメッセージングなのか?これらの技術は、どれも違法ファイルの交換に利用できる。P2Pを禁止すれば、次々と深みにはまっていくことになるだろう。そして、いずれはコンピュータも、テレビなどのように機能が限定された機械になってしまうだろう。自分の機械なのに制御できなくなるのだ。実際、すでにその兆候は見られる。Shawと呼ばれるISPは、ユーザーが送信するパケットの一部をすでに削除しはじめている。同社は一連のルールを定め、この秘密のルールに沿って削除するパケットを判断している。

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