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「技術は差別化にならない」--エキサイト山村社長

インタビュー:山岸広太郎(CNET Japan編集部)
構成/文:永井美智子(CNET Japan編集部)
2004年11月26日 19時59分
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 インターネットビジネスにおいて、競争力の源とはなんだろうか。多くの企業がこぞってユニークな技術を持つ企業の買収に力を入れるなか、エキサイトは別の方向に目を向けている。

 エキサイトは11月2日、ジャスダックに上場した。ポータルサイトとしては1997年のヤフー上場以来、7年ぶりとなる。市場調達金額は約42億円。この資金をもとに、音楽やゲームコンテンツといった課金コンテンツの充実を図る方針だ。

 エキサイト代表取締役社長の山村幸広氏は技術よりもコンテンツこそがポータルサイトにとっては重要だと話す。技術革新の激しいインターネット業界において、技術はすぐに追いつかれるというのがその理由だ。同社の勝ち残り戦略について、山村氏に話を聞いた。

--商社のネットビジネスで成功した例は少ないと思いますが、その中でエキサイトが成功した理由はどこにあるのでしょう。

 一つは運が良かったんでしょうね。しかし今振り返ってみると、生き残ったところは広告収入以外のモデルを築いたところだけです。

--広告事業の現状は。

 売上に占める広告収入の割合は約50%です。今年はキーワード広告が好調ですね。単純なバナーはやはり厳しくて、当社でも売上の10〜15%程度です。もう少し見せ方を変えた、企画広告のような新しいタイプのものが売れています。

 今後はオンライン広告市場の伸びに合わせて広告事業も成長していくと思いますが、それ以上にコンテンツ課金による売上を増やすことで広告の比率を30%程度に抑える予定です。

--幅広い層にアプローチするポータルサイトが多いなか、M1F1層(20〜34歳の男女)に注力した戦略を取っていますね。

 広告媒体の価値はリーチするユーザーの数だけではないと思っています。広告主はターゲットを明確にして広告を出しています。たとえばトヨタ自動車でもクラウン、ヴィッツ、エスティマでは完全にターゲット層が違う。「こういう層に見せたい」というものを持っている広告主が多くなっています。

 ポータルサイトだからといって、ページビューが増えれば広告が入って物も売れるというわけではありません。ページビューが増えているということは在庫が増えているわけですから、不良在庫を抱えることになってしまう。

--サイトの作りこみがかなり細かいのもエキサイトの特徴ですね。

 そうでなければ差別化できません。我々にはヤフーという巨大な敵がいます。「Yahoo! JAPANさえあればいい」という中で存在感を出していくには品質を追求するしかありません。

 私が1999年に入社した当時から、すでに世間では「検索=ヤフー」というイメージが確立していました。ですから、検索を売りにするのはやめようと決めました。検索で差別化は無理だと思ったんです。

 そもそも、技術はアドバンテージにならないと思っているんですよ。特許があれば話は違うかもしれませんが、技術は絶対に追いつかれる。特にネットの世界では数カ月のアドバンテージにしかなりませんから、技術で差別化を訴えるようなものにはあまり意味がないと思っているんです。それよりも使い勝手やコンテンツの中身で勝負していきます。

 ポータルサイトには何か特別な技術があるわけではありません。24時間365日安定的に大量のデータを配信するという運用能力はありますが、これは技術ではない。「技術が大きな差別化になると思ってはいけない」と技術部の人間には常に言っています。

 一番大切なのはブランドやユーザビリティ、それにオリジナリティです。当社が新しいコンテンツを作るときには、他がやっているものを作るなと言っています。読者がなぜエキサイトに来てくれるかといえば、エキサイト翻訳やエキサイトイズム、ウーマン・エキサイトなどがあるからです。特徴あるコンテンツというものは、人がついてきてくれます。それを作らないといけない。

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