明らかになるSnocapの詳細
FanningをはじめとするSnocapの経営陣は、この記事に関連したインタビューを断ってきた。しかし、完成が近づくにつれ、彼らの技術システムの新たな詳細が徐々に明らかになりつつある。
同社は1年以上にわたり、多くのレコード業界関係者から直接支援を受けてきた。業界幹部らは、かつては相手にもしなかったFanningが、ネット上で楽曲を合法的に販売するという概念を完全に受け入れたと考えるようになっている。
同社に詳しい情報筋によると、ほかのソフトやサービスに組み込み、ネットワーク上で交換される楽曲を特定するのがこの技術の全体像だという。P2Pネットワークでは、楽曲などのダウンロード前に、Fanningの技術を利用するソフトがSnocapから承認を受ける必要がある。
レコード業界の中には、Snocapは既存のファイル交換ネットワークが著作権を十分考慮したフィルタを組み込み、不正な送信を阻止できることを証明するものだとの意見もある。だが、それ自体はフィルタではない、と情報筋は語っている。Snocapの技術を採用するサービスでは、正規版の楽曲と一緒に海賊版を交換することができない。
Snocapは会社として、レコード会社などの顧客にさまざまなサービスを提供していくが、このなかにはP2Pネットワークにコンテンツを「シード」するための正規版の「倉庫」作成なども含まれる。
レコード会社の幹部らは、まだデジタル配布ライセンスのない楽曲に対するP2Pからのリクエストを追跡する機能にも興味を示している。これを利用すれば、ネット配信の希望がある廃盤をライブラリから探し出せる、とある幹部は語っている。
本人確認および取引決済システムが想定しているのは、従来のP2Pネットワークだけではないと情報筋はいう。一般的なウェブ小売業者でも、この技術を使えばネット上で楽曲を販売し、自社の顧客が楽曲を他人に転送できるようにもなる。楽曲の受取人がそれを手元に置いておきたい場合は、対価を支払えば代金がSnocapから最初の小売業者に振り込まれる。
競争の火種
もちろん、このような技術があっても従来のP2Pネットワークが短期間で消滅することはない。全米レコード協会(RIAA)や米国映画協会(MPAA)から告訴される危険と隣り合わせであっても、多くの人がKazaaやeDonkeyなどの無規制ネットワークを利用し続けるだけの魅力が無償の楽曲や映画にはある。
しかし、来年初めには正規サービスがいくつか登場するものと思われる。RossoがSonyBMGと交渉を進めていることは、広くメディアで報じられたが、しかし最終的な合意に至ったものはないという。同プロジェクトに詳しい情報筋によると、Mashboxxは、一部コンテンツについては既存のファイル交換ネットワークを利用して低品質版の曲をサンプル提供し、一方高品質版をSnocap対応のリンクで購入可能にするという。
Rosso自身は、このプロジェクトの詳細やレーベルとの契約の有無に関するコメントを控えている。しかし同氏は、「ファイル共有はものすごいことになる」と語っている。
I2Hubの生みの親であるWayne Changは、Snocapなどと同様の技術を利用した正規サービス化に関心がある、と語っている。I2Hubは大学に特化したP2Pサービスで、一部は高速化されたInternet2ネットワーク上でも運営されている。
レコード業界との訴訟で今年初めに和解したイスラエルのサービス、iMeshも、P2Pの側面を残しながら正規の販売チャネルに移行することを明らかにした。しかし、同社に詳しい情報筋によると、同社はSnocapではなくAudible Magicの技術を採用する可能性が高いという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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