東証マザーズ市場に上場しているADSL(非対称デジタル加入者線)サービス大手のイー・アクセスが27日の東京株式市場で一時前日比ストップ(1万円)高の9万9200円まで買い進まれ、終値は同6600円高の9万5800円となった。翌28日も続伸し10万円に急接近する展開となっている。これは、同社が26日に9月中間期および今3月期通期の業績について上方修正を発表したことが好感され、買いが集中したためだ。
同社はADSL接続サービスの大手で、セット接続会社への専用回線を卸売りしている。9月中間期の業績は7月1日に営業権を譲り受けたAOL事業とのシナジー効果、設備投資額の圧縮、ネットワーク利用効率の向上やユーザー増加に伴う設備稼働率の向上などにより収益が改善し、上方修正につながった。具体的には、今期の加入者獲得ペースが好調に推移している点が挙げられる。9月末時点での累積加入者数は177万人に達したもようで、今期の新規加入者獲得目標40万人(四半期ごとに10万人の獲得)に対してすでに28万人加入に達しており、進ちょく率はかなり好調な推移となっている。
9月中間期の業績について、売上高は従来予想比変わらずの270億円(前年同期比55.2%増)としているが、経常利益は同15億円増の39億円(同7倍)、純利益は同12億円増の36億円(同6.5倍)と大幅増益になったようだと発表している。3月期通期の業績については、9月中間期の加入者増に伴う下期売上への貢献を考慮し、売上高が従来予想比10億円増の580億円(前期比52.1%増)。また、エリア拡大、AOL事業のマーケティング強化などに伴うコストの増加が見込みを下回ったこともあり、経常利益も従来予想に比べて15億円増の700億円(同2.6倍)、純利益も同12億円増の67億円(同2.8倍)と、大幅な増収増益予想ながらも、9月中間期の実績と比較すると控えめな見通しとなっている。したがって、通期の業績については、今後さらなる上方修正の余地も残されているようだ。
イー・アクセスの株価は、IT関連銘柄の全般的な軟調傾向もあり、7月28日に年初来高値の13万8000円をつけて以降ほぼ一貫して下落基調となり、10月半ばには10万円台を割り込む水準にまで低下していた。しかし、今回の業績上方修正で株価は反転上昇基調を強めており、年末にかけて上昇する可能性も出てきた。日興シティグループ証券では、27日に発表したリポートのなかで、イー・アクセスのターゲットプライス(目標株価)を12万円としている。
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