イー・アクセスと米America Online(AOL)、AOLジャパンの3社は5月17日、AOLジャパンのインターネットサービスプロバイダ(ISP)事業をイー・アクセスに譲渡することで合意したと発表した。譲渡金額は21億円で、全額が現金で支払われる。イー・アクセスの株主総会を経て、6月30日に営業譲渡が完了する予定だ。
イー・アクセスはISP事業の営業に関わる資産や権利義務のほか、従業員約200名を受け継ぐ。同社は現在ADSLの回線接続サービスを提供しているが、これによりISP事業に参入することになる。AOLジャパンのナローバンドユーザーをADSLに移行させていくほか、中小ISP事業者のアウトソーシング事業も展開していく方針だ。
イー・アクセス代表取締役兼CEOの千本倖生氏 |
さらにイー・アクセス代表取締役兼CEOの千本倖生氏は、「(AOLの親会社である)Time Warnerは世界最大規模のコンテンツ会社であり、(ブロードバンドインフラ事業の)新たな付加価値となるコンテンツ事業への足がかりを得た」と説明。「潜在的なシナジー効果はかなり大きい」(千本氏)と今後の事業拡大に自信を見せた。
AOLジャパンは1996年に設立され、国内でのISP事業を手がけていた。その後2000年9月にはNTTドコモが筆頭株主として参加し、社名をドコモAOLに変更。しかし2003年12月にはドコモが全株式を売却し、社名をAOLジャパンに戻していた。現在は米AOLの100%子会社で、2003年12月期の業績は売上高が97億3700万円、営業利益が14億3700万円、経常利益が14億1000万円、当期純利益が8億2800万円となっている。
イー・アクセス代表取締役COOの種野晴夫氏によると、今回の事業譲渡は米AOL側から持ちかけられたものという。打診時期については、「NTTドコモなどが株式を売却した後に話があった」(種野氏)としている。
なお、AOLジャパンが現在提供しているサービスは継続される予定。「日本での営業権がイー・アクセスの一事業部に移行すると考えてもらえばいい。サポート体制なども変わらない」(AOLジャパン)。ブランド名もAOLのままで変更はないという。ただしAOLジャパンの法人格が今後どうなるかについては未定としている。
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