アドビ システムズは12月1日、Adobe Acrobatファミリーの最新版となる7.0を発表した。最新版では、PDF文書の管理・整理の容易さや、起動・作成などのスピードが大きく向上し、セキュリティ機能も強化されたという。
同製品ファミリーはProfessional、Standard、Elements、Readerにわかれている。Elements、Readerは一般にPDF文書を作成・閲覧する一般企業の全社員が対象となるが、Professional、Standard版の位置づけについて米Adobe Systemsインテリジェントドキュメントビジネスユニット シニアプロダクトマーケティングマネージャーの山本晶子氏は、「Professionalはフォームを作成したりレビュープロセスを起草したりするビジネスプロフェッショナルや、CADソフトウェアを利用するエンジニア、クリエイティブプロフェッショナル向け。Standardは、Microsoft Office製品をよく利用し、作成した文書を他社と共有・回覧・レビューするビジネスユーザー向けだ」と説明する。
米Adobe Systemsインテリジェントドキュメントビジネスユニット シニアプロダクトマーケティングマネージャー 山本晶子氏 |
Adobe Acrobat 7.0 Professional版の主な新機能のひとつに、注釈権限つきのPDF文書が作成できることがある。PDFに注釈権限を付与することで、Adobe Readerを利用した文書レビューが可能となる。レビュー担当者が権限つきのPDF文書を受け取ると、無償のReaderでも注釈ツールが有効になる。また7.0には、Microsoft ProjectからワンボタンでPDFを作成できる機能が追加されたほか、AutoCAD、Microsoft Visioのドキュメントレイヤへも対応したという。Professional版ではもちろん、Standard版のすべての機能が利用可能だ。
Adobe Acrobat 7.0 Standard版では、Microsoft Outlook、Access、PublisherからワンボタンでPDFを作成できるようになっている。また、PDFキャビネット機能により、PDFファイルの検索、関連するファイルの整理、最近表示したPDFファイルの参照や並べ替えなどが容易に行えるという。ほかにも、判子スタンプツールや新しいOCRエンジンが搭載されている。
今回発表されたStandard、Professional版は、Adobe LiveCycle PolicyServerとの連携が可能となり、セキュリティ機能が大幅に向上している。これにより、「ファイアウォールを越えたドキュメントコントロールが実現できる」とアドビ システムズ マーケティング本部 インテリジェントドキュメント部 フィールドプロダクトマネージャーの千田斎氏。たとえば、取引先に10日間のみアクセス可能なPDF文書を送った場合、有効期限が切れるとアクセスできなくなることはもちろん、同文書に変更を加え、10日間を待たずして古い文書を無効にしたい場合、有効期限を短縮させることも可能だという。
アドビ システムズ 代表取締役社長 石井幹氏 |
アドビ システムズ 代表取締役社長の石井幹氏は、電子文書としてPDFを利用することのメリットとして、セキュリティが高いこと、共同作業が可能なこと、そして様々な情報を文書の中にコンテナとして組み込むことができることなどをあげている。「紙のドキュメントそのものの便利さはそのままに、業務フローがより容易になる」と石井氏。さらに同氏は、「Acrobatは日本の電子文書としてほぼデファクトとなっている。今後電子文書法の施行によって、電子的な文書の保管がより進み、Acrobatの活用場面も広がるだろう」と語る。
なお、同社製品の導入事例として石井氏は、国立印刷局が電子署名機能とタイムスタンプ機能を組み合わせたソリューションを利用して官報を発行していることや、埼玉県が個人認証基盤との連携で申請業務を行っていることを紹介した。ほかにも広島県や岡山県など、様々な自治体がe-Japan構想の下、同社製品を有効活用しているという。民間企業では、住友商事が社内のEオフィスプロジェクトとして全社員を対象にAcrobatの導入を行ったほか、本田技術研究所が社内の稟議システムとしてAcrobat製品を導入しているという。
Adobe Acrobat 7.0 ProfessionalおよびStandard日本語版の発売日は、2005年1月21日となる。Adobe Reader 7.0は、一足早く12月中旬よりダウンロード可能。Adobe Acrobat 7.0 Professionalの30日間使用期限つき体験版のダウンロードは1月中旬より。12月1日から2005年2月28日までに6.0を購入したユーザーに対しては、7.0への無償アップグレードが可能だ。価格は、Standardが3万6540円、Professionalが5万7540円。アップグレード版はStandardが1万3125円、Professionalが2万1735円(すべて税込み価格)となっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果