路上に飛び出すホームエンターテインメント技術 - (page 2)

Declan McCullagh (CNET News.com)2004年10月20日 13時33分

AV空間としてのクルマに積み込まれるものは

 年間売上36億ドルを誇る日本のパイオニアは、カーオーディオで有名な企業だが、同社はハードディスクに賭けている。Pioneer Electronicsのエンジニア、Niall Berkeryは、Wi-Fiを使ったワイヤレス接続は「妥当な品質のビデオを転送するには速度が遅すぎる」とし、ハードディスクを利用すれば「自宅のTiVoに保存したのと同じコンテンツを、車内でも楽しめる」と述べている

 天井高も高く車内空間も広いため、現在多くのSUVやミニバンには後部座席用のLCDが搭載されている。ハードディスクベースのビデオプレイヤーなら、数百本の映画を保存し、前の席からでも操作できるため、DVDを操作できない小さな子どもがいる親にはこの方が理にかなっている、とパイオニアでは考えている。

 カーナビや衛星ラジオのシステムを販売するパイオニアは、車内でのテレビ番組受信でも野望を抱いている。だがBerkeryは、テレビ放送の受信は静電気やノイズの影響を受けやすいため、消費者はおそらくデジタル衛星テレビを選ぶという。

 同氏によると、車載システムでも「自宅と同じ衛星信号」を受信できるという。現在、衛星放送用のアンテナの重量は約18キログラムもあり、ルーフラックに装着するようになっている。そのため、普通車よりもRVの方が現実的だが、ただしサイズは徐々に小型化されていくと見られている。

 クルマのデジタル化はビデオにとどまらない。自動車オーナーは、自宅にあるドルビー5.1チャネルシステムと同じ高品位サウンドを求め始めている。同システムでは、通常の5つのオーディオチャネルに加え、DVDが大音量の特殊効果に利用する低周波チャネルも1つ用意される。DVD-AudioやSuper Audio CDといった新しいフォーマットのオーディオCDは、従来のCDに比べ、極めて優れた品質を実現する。

 もっとも、3次元のシアター効果を得るためにリアスピーカを加える6チャネルサウンドを車内で実現するのは難しい。座席が適切な位置になく、スピーカ同士も接近しすぎており、また作品はリビングルームでの再生を念頭に置いてつくられており、ロードノイズの問題も常につきまとう。

 音響エンジニアのHenry Blindは、それでもDSP(デジタル信号処理)技術をクリエイティブに活用すれば、ごくわずかな遅延を挿入することでこの効果も実現できるという。年間売上9億1800万ドルの自動車製品メーカー、Visteonに所属するBlindは、3次元効果が与えられるビデオゲームに対する自動車オーナーの関心がますます高まっている、と語る。

 「ステレオがモノラルに取って代わり、CDがレコードに取って代わったように、DVDとDSPが2次元のステレオの世界を3次元の世界に変えつつある」(Blind)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]