米国のハイテク部門における第3四半期の雇用削減数が5万4701人にのぼり、前期比で60%増、前年同期比では14%増となったことが、就職斡旋サービス企業Challenger, Gray & Christmasの報告で明らかになった。同報告は18日(米国時間)に発表された。Challengerは、コンピュータ、電子、通信、Eコマースの4業種をハイテク部門と定義している。
同社CEOのJohn Challengerは、雇用削減の原因として、ハイテク部門の価格決定問題を挙げている。Challengerは、「ハイテク部門における雇用削減は年末が近づくにつれ増加する傾向にある。この背景には、ハイテク企業には事実上、価格決定力がないという問題がある」と述べ、さらに「需要が増加しているにも関わらず、大半のメーカーやサービスプロバイダが1つの製品を売るごとに得る利益は逆に減少している。各企業は高利益率を維持するためにコスト削減を余儀なくされている」と語った。
今回のChallengerの発表は、IT関連の雇用市場に現われた様々な前兆を再確認させる内容となっている。IBMやBearingPointのようなハイテクサービス企業は米国内で積極的に雇用を拡大しているが、それらの企業はハイテク技術とビジネスの手腕とを組み合わせられる人材を求める傾向が強くなっている。米労働省によると、今年9月のコンピュータシステム設計および関連サービスにおける雇用者数は前年同期から3万2700人増加し、114万人に達したという。また調査会社Meta Groupは先ごろ、IT関連労働者の給与は向こう3年間に15%も上昇するとの予測を発表した。
一方、ハイテク労働者らは、プログラミングなどの業務が人件費の安い国々にアウトソーシングされる、いわゆる「オフショアリング」の脅威に直面している。Information Technology Association of America(ITAA)の最近の調査によると、各社の雇用担当マネジャーは昨年ほどIT労働者の雇用に積極的ではないという。さらに今年9月には、IT労働者の労働市場に対する信頼度も低下していた。
Challengerの報告書によると、今年に入ってハイテク企業各社が発表した雇用削減数は11万8427人で、これは米国の全業界における総雇用削減数である72万4320人の16%に相当するという。全業界の総雇用削減数に占めるハイテク業界の雇用削減数の割合は第2四半期に13.5%だったが、以後増加傾向にあるとChallengerは指摘している。
また同報告書によると、ハイテク部門における第3四半期の総雇用削減数のおよそ56%に当たる3万624人は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、部品、周辺機器のメーカー/販売業者、およびコンピュータサービス企業などのコンピュータ関連企業で削減された人数だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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