パーデュ大学の研究者らが開発した画像分析技術を使えば、将来偽造紙幣や偽造文書の印刷に使われたプリンタを割り出せるようになるかもしれない。
この研究者らは実験のなかで、12種類の異なるプリンタが出力した文書を調査し、文書とプリンタを11回正しくマッチさせることに成功した。このテクニックではいまのところ、一部のプリンタの機種までしか突き止められないが、将来はある文書からそれを印刷した特定のプリンタがわかるようになるという。
パーデュ大学の電子/コンピュータ工学教授、Edward Delpは声明のなかで、「つまり、将来的には同じモデルであっても、特定のプリンタ毎に偽造紙幣の違いを識別できるようになる」と述べている。
Delpをはじめ、このプロジェクトに参加した複数の教授と大学院生は、この技術を詳細に説明した論文を、11月にソルトレイクシティーで開催されるInternational Conference on Digital Printing Technologiesで発表する。同グループはさらに、米シークレットサービスとも協力し、文書や偽造紙幣の新しい追跡手法を開発していく。
Delpが開発したソフトウェアは、プリンタ毎に「内在する署名」を特定することができる。この場合の署名とは、プリンタの出力結果に見られる微妙な違いのことで、機構のわずかな違いに起因して生じるものだ。プリンタメーカー各社は、コスト削減のために、プラスチック製のギアなどのパーツを採用しているが、それによって印刷された紙に違いが生まれる。これらの違いを抑えることも可能だが、ただし製造コストの大幅増につながってしまう。
同グループはさらに、出力文字を形成するインクの水平レイヤである「バンディング」も活用する。インクは水平線(バンド)に沿って塗布されるが、プリンタの機構や内部ドラムのスピードにより、その幅と濃さには変化が出る。
しかし、トナーカートリッジを交換するとバンディングも変化してしまう。これを防ぐため、パーデュ大学の研究者らはプリンタメーカーと協力し、「外因署名」を文書に挿入する透かし技術を作り出した。これらの署名は人間の眼には識別できないが、画像分析によって割り出すことが可能だという。
電子工学およびコンピュータエンジニアリングのJan Allebachと機械工学のGeorge Chiuという両教授は、バンディングを減らす技術の開発に取り組んできている。これと同じ技術を使って、 透かしをいれることも可能だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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