日本ヒューレット・パッカード(HP)は10月7日、情報ライフサイクル管理(ILM)を実現する新アーキテクチャ「HP StorageWorks Grid」を発表するとともに、同アーキテクチャを利用してレファレンス情報管理を可能にする「HP StorageWorks Reference Information Storage System(RISS)」の提供を開始すると発表した。
米Hewlett-Packard ネットワークストレージソリューションズ 上級副社長兼ゼネラルマネージャーのボブ・シュルツ氏は、「1998年までのストレージは、サーバに直接接続するDAS(Direct Attached Storage)しか存在しなかった。ネットワークに接続されたストレージであるSAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)が実現したことで、拡張性や可用性が向上し、リソース共有も効率的になった。ただ、SANやNASはひとつのステップにすぎない。新たなステップとしてHPではStorageWorks Gridを提供し、変わりゆくサービスニーズに対して自動的なリソースの割り当てを可能にするとともに、限界のない成長にも柔軟に対応できるようにする」と述べている。
米HPネットワークストレージソリューションズ 上級副社長兼ゼネラルマネージャーのボブ・シュルツ氏 |
HP StorageWorks Gridは、「スマートセル」という標準化されたモジュールに属性をつけ、企業のポリシーに応じてデータを効率的に格納・活用できる仕組みを提供するという。データ管理の際の管理情報も少なくて済むため、管理情報がストレージを圧迫することもなく、ディスクのパフォーマンスを落とさずにデータ容量を拡大できるという。
StorageWorks Gridを採用した新たなストレージソリューションStorageWorks RISSは、メールや画像ファイルなど、格納後上書きされることがないデータの保管と検索が可能になるというもの。データのアーカイブシステムに必要な機能が統合されているため、米国で施行されている電子文書保存に関する法規に準拠したメールの保存や、保存対象とする文書や保存期間など特定のルールに従った保存が可能となる。また、ウェブベースのインターフェースでメールの高速検索を実現する。さらには、RISSにデータを保存することで、メールサーバのパフォーマンスを改善し、運用効率の向上とコスト削減も可能だという。
RISSはおもに、メールの長期保存が求められる金融業や製造業、研究開発機関などでの採用を見込んでいるという。シュルツ氏によると、同システムはパフォーマンス、検索能力、管理性などの点から米国株式市場のNASDAQですでに採用されており、データベース管理者の人件費も含め年間30万ドルのコスト削減を実現したという。
RISSの価格は、1テラバイトベースシステムが2310万円(税込)からで、4テラバイトベースシステムが6195万円(税込)から。同日より受注開始する。
HPでは、7月31日締めの2004年度第3四半期決算ではストレージ事業の業績悪化が目立っていたが、その要因として、米国にて新しい注文処理およびサプライチェーンシステムへの移行が予定通りに進捗しなかったこと、欧州にて流通管理で問題があったことなどをあげている。これらの問題は「改善されている」とシュルツ氏は述べている。また、日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ネットワークストレージ製品本部 本部長の渡辺浩二氏によると、「日本国内に限っていえばシェアはそれほど落ちてはいない」という。
渡辺氏は、今後の国内におけるストレージ戦略として、「ILMを推進し、同分野でのリーダーシップを確立すること、これまで弊社サーバの周辺機器として見られがちだったハイエンドストレージのイメージを一新し、オープン性を打ち出すこと、ミッドレンジに関してはパートナーとの連携を強め、直販だけでなくボリュームビジネスに注力すること」をあげた。
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